売野機子短篇劇場

売野機子のエッセンスが凝縮された短篇集

売野機子短篇劇場
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前

売野機子さんは長編ももちろん面白いのですが、改めてこの短篇集に収録されたエッジの利いた短篇たちを読んで、やはり格別だなぁとしみじみ思いました。 最初と最後こそ、連載したかったものの企画をどこにも受け入れられなかったことでコミティアで本にすることとなったという外連味溢れるSF「ロボットシティ・オーフェンズ」でスカッと楽しいです。しかし、その間に挟まれた作品、とりわけ「痴者の街で」や「成人式」などはビターな味わいで、順風満帆でない環境で躓いてしまった人にこそ刺さるであろう作品です。 物語を楽しむ必要がないほど現実が充実している人は幸せです。そのまま、世界に笑顔を増やしていって欲しいと思います。しかし、そうでない、笑えなくなってしまった人。そういう人に寄り添うのがこうした作品であり、その意義だと感じます。 売野さんには、人生や社会の理不尽に翻弄されて傷を抱えた少女を、その少女が傷を歯を食いしばって堪えたり痛みに喘いだり、克服したり圧倒されたりしながら生きていく時の生々しい息衝きをこれからも作品に宿して欲しいです。 なお、後書きで「〜しか勝たん」という表現を売野さんが使うようになっていたところもまたエモさを感じたところです。

新装版 天帝少年 中村朝短編集

不思議で前向きな光溢れる短編集

新装版 天帝少年 中村朝短編集
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前

『部長が堕ちるマンガ』でお馴染みの中村朝さんがコミティア等で出された読み切り作品5本を収録して以前に刊行した『きみが小説家をみつけたら』。それに描き下ろしの「天帝少年」を加えてBEAM COMIX名義で出された短編集です。 感動的なお話からサスペンス展開のあるお話まで、シリアスさマシマシで届けられます。突き抜けたテンションの『部長が堕ちるマンガ』でしか中村朝さんを知らない方は、作品内容の違いに驚くかもしれません。 基本的には表紙の色が示している通り明るい未来への希望の光を謳う作品がメインを占めており、読後感は総じて良いです。 饕餮や件、座敷童子など民話や伝承に登場する想像上の生き物が扱われた作品が複数あるのも特色です。作者の趣味嗜好が溢れ出していて、それが心地よい短編集です。 表題作で描き下ろしの「天帝少年」もネーム自体は10年ほど前に描かれた作品だそうですが、綺麗に纏められた読み応えのある良質な一話でした。 絵柄の変遷も辿れるという意味で、貴重な一冊です。『部長が堕ちるマンガ』も大好きですが、中村朝さんにはこういったタイプの作品も今後も読ませて欲しいなと思います。

文房具ワルツ

漫画家マンガなエピソードもあって楽しい

文房具ワルツ
名無し
1年以上前

まだ付き合う前の微妙な関係の大学生カップルと、そのカップルがアシスタントのバイトに行ってる売れない漫画家が主人公。どちらも人生停滞期みたいなモヤモヤした日々を送っているのですが、その様子を擬人化された文房具達が見守っているという話です。 意外と漫画家マンガとして面白いな〜と思いました。主人公の売れない漫画家が初めてもらったカラーページに苦戦する話とか好きでした。同じ時期にデビューした売れてる漫画家が登場するんですけど、そいつが性格いいのもよかった。めっちゃ売れてて豪華なマンションに住んでるのにコタツで原稿を描いてるとか、そういうのいいな〜と思いました。

プリンタニア・ニッポン

点目のかわいい生物が好きな同志に。

プリンタニア・ニッポン
兎来栄寿
兎来栄寿
3ヶ月前

私はミッフィーちゃんが好きです。にゃんにゃんにゃんこが好きです。すみっこぐらしが好きです。昔からどうやら無表情点目かわいいキャラに惹かれるようです(しかしながらキティちゃんよりはシナモロールが好きなのは我ながら謎なのですが)。 そんな点目生物推しの私にとって、2020年最も推したい生物こそがプリンタニア・ニッポンです。今、日本に、いや世界に必要とされているものです。 普段の平和な性格と無表情っぷり、堪りません。 一方で新鮮な水をかけられたり、仲間と思しきゼリーに出会った時に見せるほのかな笑顔の愛くるしさ。堪りません。 私も飼いたい……プリンタニア・ニッポン飼いたい……膝の上に乗っけたりベッド脇に置いてもちもちしたい…………。 でも飼ったら飼ったで色々と大変なこともありそうなので、こうしてマンガで読んで癒されているくらいが実は丁度良い距離感なのかもしれません。 1話読んで心を掴まれ、コミックスが発売されるよりかなり前にJ-WAVEのラジオでも「心に効くマンガ」として紹介もさせていただいた一押し作品です。 どこまでもかわいく、そしてそれだけではない魅力を湛えている不思議なマンガ『プリンタニア・ニッポン』。あなたもこの魅力に触れてみませんか。

カラオケ行こ!

紅だァァァァーーーーーーーッ!!!!

カラオケ行こ!
兎来栄寿
兎来栄寿
8ヶ月前

私は最も好きなアーティストがX JAPANなので、「紅」が物語上でとても大きな役割をもたらすこの物語には一際愛着が湧きました。「紅」は前奏が長いし何ならギターソロも非常に長いんですけど、それも含めて最高なんですよね。 昨年、颯爽と発売されたデビュー単行本『夢中さ、きみに。』でマンガ好きに旋風を巻き起こした和山やまさん。今年も『女の園の星』に加えて、この『カラオケ行こ!』で見事にマンガ読みを熱狂の渦に巻き込み、その勢いは早くも一般層にまで波及しようとしています。 本作は絶対音感を持った組長が開催する恐怖の罰ゲーム付きカラオケ大会でビリにならないために、39歳のヤクザが歌の上手い中学生に教えを請うという設定でまず1オモシロ。 次々と展開されるヤクザエピソードが笑えて2オモシロ。 そこに、コメディだけでなく合唱部部長でコンクールを目前に控えながらも声変わりという難題に直面する聡実のシリアスな葛藤が加わり物語の厚みが増して3オモシロ。 聡実の家族の出番はほんの僅かですが、その少しの時間で見せる人間臭い魅力、4オモシロ。 そして全体を通したストーリーの素晴らしさ、計100オモシロ。本作も最高でした。 「紅」では 「紅に染まったこの俺を慰める奴はもういない」 と歌われますが、狂児には聡実という言葉では表せない関係性を持った人間ができた、紅に染まっても慰めてくれる奴がいる、その尊さ。 単行本ならではの描き下ろしも非常に嬉しいおまけでした。 巻末の狂児のプロフィールにおけるカラオケベスト3で、1位が紅なのはもちろんですが、2位と3位があの曲になったのはとてもエモいですね。狂児が歌う2位の歌も聴いてみたいです。夢花火。

桜は君に3度舞う

同級生の教師と生徒という不思議な関係性

桜は君に3度舞う
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前

炊田鳩子さんの初単行本。どこかで描いてた方なのかな? と思うほどに絵もネームも非常に読み易いです。ちなみに、一瞬吹田かと思ってよく見たら炊田(たけた)さんでした。作者名にルビが振ってあるのはありがたいといつも思います。 1年で3歳分歳を取る特異体質を持つ加藤が、かつて同級生だった友人折原と生徒と教師という立場で再会するところから物語は始まります。 この根幹にある設定が、さまざまに作用して妙味を生み出します。先生としては子供っぽいと周囲から見られている加藤。しかしその実は……というところが描かれていきます。20年生きると60歳分加齢されるとしたら、自分はどのように生きただろうと思わず考えさせられました。 第7話で病院で出逢うおばあさんとの、病気に対する向き合い方にまつわる会話のシーンはこの作品でも特に好きなところです。この病気が実在しなかったとしても、人間が自分の力ではどうにも立ち行かなくなってしまった時にいかに生きていかに周りの人間と関わって行くかというテーマは普遍です。 人間の価値は、自分の最期を悲しんでくれる人がどれだけいるかで決まると教えてくれた中学時代の先生の言葉を思い出しました。物語の行く末は寂しい結末を予感させますが、加藤が迎える終わりを見届けたいです。 余談ですが小深田先生や国頭先生など、ショートカットの女性がやたらと魅力的に感じられました。私はロング派なんですが。

和田ラヂヲの火の鳥

火の鳥ってなんの鳥?

和田ラヂヲの火の鳥
野愛
野愛
1年以上前

火の鳥を読むような気持ちで読んでしまったのが間違いでした。火の鳥を和田ラヂヲ先生流に噛み砕いたものが読めるんだろうなって、いやまあ和田ラヂヲ流火の鳥なんだろうけどなんかそういうことじゃなかったなって。 寿司食おうと思ってたのに死ぬほどうまいポテサラ食べさせられたみたいな釈然としない満足感を得ました。おもしろかったです。 今となってはそもそも火の鳥ってどんな話だったかなって感じですね。おもしろければ勝ちですよね。 スーパーで買ったお寿司はネタとシャリを剥がしてシャリを10〜20秒あたためるとちょっと美味しくなるので、寿司屋火の鳥に教えてあげたいなあと思います。 和田ラヂヲ先生のことを思い出そうとするとネットライターの山下ラジ男さんが出てきちゃうんですよね。そういう人いません? 山下ラジ男さんの記事もおもしろいけど、和田ラヂヲ先生の漫画もおもしろいです。

東京アリス

4人の女性の成長物語。

東京アリス
Pom
Pom
1年以上前

読み始めたら、あっという間に最終巻でした。 学生時代の4人の同級生の恋愛、人生、成長物語。 ファッション、髪型、皆個性あって可愛かった〜 4人それぞれが一喜一憂しながら幸せに向かって歩んでいき、自分にも友人にも素直になっていくので(女友達に本音で話せる関係性って本当良い)その成長過程に読み応えを感じ最後まで面白く読めました。

むか~しむかしの 子供に読ませなくてもいいお話集

ユルく切れ味鋭く #完結応援

むか~しむかしの 子供に読ませなくてもいいお話集
ひさぴよ
ひさぴよ
1年以上前

童話や昔話をモチーフにして新しい解釈を加えたショートストーリー集。柘植文先生の絵のタッチがテーマによくハマってます。 こういう風に、昔話をサンプリングっぽく再構築するやつ大好きですね。 シニカルな笑いと変なオチばかりなので、タイトルの通り「子供に読ませなくてもいい」漫画なのは間違いないですが大人に限らず、おませちゃんな子供が読んでもいいと思いますね。 昔話のおかしな点をツッコんだり、現代人の生活に置き換えたりと話のバリエーションがとても豊かです。ただ、各原作のオチを意識しながら読まないと、漫画のオチの意味がわからなくなる回があったり…。その場合は最後の、”このお話のポイント”を読めば「ああ、そういうことか」となるので安心。 2巻の最後には、おまけ昔話「桃太郎と犬」が収録されていて、これがまた秀逸なお話なのでした。

PEACE MAKER

銃士の生き様が炸裂するG・O・D編

PEACE MAKER
ANAGUMA
ANAGUMA
1年以上前

ピースメーカーというのはコルト社が製造した単発式リボルバーの俗称で、西部開拓時代を象徴する名銃です。「平和を作る」という名前が粋ですよね。 不殺の誓いを持つ凄腕の銃士ホープは武器商人の処刑人となった兄コールとの因縁にケリをつけるため、命のやり取りの世界に飛び込んでいきます。 各パートで見どころはたっぷりですが、個人的な本作の真骨頂は最後のトーナメントG・O・D(ガンズ・オブ・ドミネイション)編に入ってから。 これまで登場してきた最強の銃士たちが雌雄を決するのですが、決闘という性質上、基本的には優勝者一人を残して全員の死が決定しているわけです。 「とびきりの活躍をしてくれたキャラクターたちが今から命を散らします。見届けてください」という極上のフリ。 どちらかは必ず死ぬ。それでも戦いの場に上がる。みなの覚悟と生き様が炸裂するのがG・O・D編なのです。 銃士たちが散らした命の輝き、兄弟の絆、そして世界の命運…。全ての結末がピースメーカーから放たれる一発の弾丸に委ねられるその瞬間までぜひ読んでほしいです。

はてなの花

表紙をよ〜く見ると怪しいことしてる(笑)

はてなの花
名無し
1年以上前

結婚3年目でセックスレスになったことを悩んでる専業主婦のヨーコさんの元に子供の頃に大好きだった漫画のキャラクター「なのかちゃん」が現れます。懐かしくなって使わずにとっておいた雑誌の付録を探しているうちに旦那さんが隠していたSMグッズを発見してしまいます。帰宅した旦那さんを問い詰めると忘年会の後に付き合いでそういう店に行ってからハマってしまったらしく、ショックを受けながらもそういうプレイをやってみようとヨーコさんが奮闘するお話です。 半年ぶりに見た旦那さんの身体にはピアスがあったりなかなかのどハマりっぷりだと思いますが、それでも奥さんのことは愛してるんだな…と感じるシーンはあるので嫌いにはならなかったです。慣れないSMプレイをするヨーコさんの姿が子供が遊んでるみたいで悲しいし笑っちゃうし可愛いしで好きでした。旦那さんが通っている店の女王様も登場して三角関係になっていくのも面白かったです。河内遙先生のちょっとアブノーマルな話が好きなので大満足でした!

ストロベリー・キャニオン

クライマーズ・メンタル三者三様

ストロベリー・キャニオン
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

主人公・みよは豆腐メンタル。幼馴染のケイタはガンガン進んで周囲をかき乱す。もう一人の幼馴染・鉄はそんな二人に振り回されてペースを乱す……本作はオリンピックを目指す三人の関係性を中心に、クライミング競技者の「メンタル」を描きます。 家族の応援のプレッシャー、恋とパフォーマンスの因果関係の分からなさ、ライバルの存在と力み……競技者の心は難しい。 繊細に描かれる心模様と、それに苦しむ姿にはシビアな現実感があり、読んでいてもどかしく苦しい。しかしクライミングと向き合い、心を定めて高みを目指す彼女達を追う高揚感は、物凄い! 舞台の宇都宮の風物、クライミングジムや岩場までリアルに描かれ、講師のトップ選手も実在の選手がモデルになっている様です。 舞台から心理までリアルに描き、派手さはないけれど真剣な物語。4巻以降、みよの試練が示唆されますが、例え苦しくても、切実な心情を追うのを止められなさそうです。

カバチ!!! -カバチタレ!3-

第29巻 ネコが表紙の<動物虐待編>

カバチ!!! -カバチタレ!3-
ひさぴよ
ひさぴよ
1年以上前

カバチ!!! -カバチタレ!3- (29) https://manba.co.jp/boards/10905/books/29 29巻は動物虐待編ということで、なんとネコが表紙に! 表紙に動物がいること自体、カバチシリーズ(というか東風孝広作品)では非常に珍しくないですか?中身的にも、ネコ好きにとって関心の高い内容なので、とてもナイスな表紙だと思います。また、東風孝広先生の描くネコが不思議なカワイさがあって、何とも味わいのある表情なのです。 今作では、ネコ好き女子高生・根子亜衣(ねこあい)と、重森さんのコンビが虐待犯を追い詰めるという、私立探偵のような展開。田村は脇役になっちゃいましたが、普段は堅物キャラの重森さんの奮闘が光り、意外な優しさが垣間見える回でした。 例によって相手側には、胸糞悪い性格の人物が登場するわけですが、動物虐待を防ぐには、器物損壊罪・動物愛護法といった法律を知らなければ、一筋縄ではいかないことが分かります。ネコ好き・動物好きの方は、興味があればこの巻だけでも読んでみてはいかがでしょうか。

異世界転生したけどパンツを錬成する能力しかありません

パンツの錬金術師!!!

異世界転生したけどパンツを錬成する能力しかありません
名無し
1年以上前

「マスタング大佐に「パンツの」って呼ばれるんだろうな…」って思いながら読んでました。 サラリーマンの主人公かなたが異世界転生で獲得したスキルはパンツを生み出す能力だけ。ハードモードすぎる。しかも転生したのがノーパンが伝統の国(ノーパンが伝統の国?)だったために物議を醸してヒロインのニコとともにパンツのアリナシを巡る決闘に巻き込まれることに…。 やってることはパンツ作って女の子に履いてもらってるだけなんですが、クライマックスはかなりいい話っぽくなってるので読み味は気持ちよかったです。決め台詞もアホすぎて好き。 『ギャルごはん』の人だけあってとにかくギャルのニコちゃんがかわいかった!

妖精のおきゃくさま

何度読んでも素敵な妖精と人間の仕立て屋さんのお話

妖精のおきゃくさま
ぺそ
ぺそ
1年以上前

Twitterで読んだときから好きだった『妖精のおきゃくさま』。くらげバンチでの短期連載を経てwebアクションに移籍(?)して再連載スタートということで、あらためて0話と1話を読みましたが本当に何度読んでも素敵ですね。優しいお話と絵に癒やされます…! https://comic-action.com/episode/13933686331723879878

島さん

地味だけどいい話の宝庫

島さん
六文銭
六文銭
1年以上前

1話無料で何気なく読んでしまった本作ですが、コンビニ店員を通して日常におきるちょっとしたことを取扱い、派手さはないけど、ジンワリと響く話が多くて一気に全部読んでしまった。 何も変わらない毎日って、当たり前だけど、当たり前じゃない。 誰かが変わらないように頑張っているんだなと月並だけど思いました。 コンビニだって、いつも品物がスカスカではなく、きちんと並んでいますが、これだって島さんのような店員が陳列補充して頑張っているからだと思ったら、全てに感謝したくなりました。 ちょっとよくわからないかもしれませんが・・・そういう意識にもっていかれる作品だと思います。 島さんの背中の秘密や過去の話が、どこかで語られるのかな。 まだ、その片鱗すら出てこないけど、すごく楽しみです。

蟲師 外譚集

素敵なトリビュート

蟲師 外譚集
ナベテツ
ナベテツ
1年以上前

音楽でもそうなのですが、トリビュート企画というものが好きで、クリエイターが自分の才能と愛で持って新たに作り上げる作品はまた違った魅力を見せてくれます。 この本を実際に手に取って貰えれば分かることなのですが、一流の漫画家さん達が「蟲師」という作品にがっぷり4つに組み合い、自分達のアレンジで、新たな作品を産み出しています。 外れの無いアンソロジー集であり、作者の手を離れた蟲師として一読の価値があります。

フリクションガール

女性クライマーに「惚れる」視点

フリクションガール
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

1巻では少し奇妙なクライマーの生態と、挫折した女子の新たな一歩を描いた本作。2巻ではより本格的にボルダリングを描き始めますが、女子の楽しげなやり取りの中に、クライマーのカッコ良さがふんだんに描かれています。 これを読んで、クライマーに惚れない人はいないでしょう! 分かりやすいのは、鍛えられたボディ。全体的に大きなギャオ&細マッチョなむゆ先輩の彫刻の様な身体は、初心者のうーちゃん&たまちゃんと並ぶとより際立つ。そしてその身体がウォールで躍動する迫力!私の中の乙女心がトゥンク…します。 または精神性。ギャオの望みは「どんな壁でも登れるようにありたい」というもの。その高い志は、ただ自分を高める事に向けられます。強さと、誰かを追い落とさない優しさの同居。その在り方に憧れてしまいます。 そんな強く優しいギャオに、主人公・うーちゃんはかなり惚れて?しまっている様子。同じ道具使いたいだなんて……。そして、ギャオの言った「サイコーになる」を知りたくて、うーちゃんは今後も登り続ける様子です。 ギャオとボルダリングに救われたうーちゃんが、どんなクライマーになるのか……じっくり進む本作、少なくともあと10巻は読みたい!

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