押見修造先生の表現はどこまで進化するのか
押見修造先生の最新作。新たな代表作である「血の轍」も出身地の群馬県が舞台になっていて実体験がベースにあるような気がしましたが、今作「ひろみ」はよりそれを感じました。ペンタッチがいい意味で力が抜けているのも、頭の中の朧げな記憶をそのまま描き表したい意図があるように思えました。すでに「血の轍」の時点で、研ぎ澄まされた心理描写は誰も真似できない地点にありましたが、押見先生の表現がこれから更に進化することを予感させられますね。物語の展開としてもちろん後編が気になりますが、その前に子供である主人公に罪悪感を植え付けた女教師はマジ許すまじ…!
息子のいうとおり母の命を守るためなら、そもそも未来の妻と出会わないルートを選べばいいのにと思ったけど…
でもこの先、意図的に生まれない(妻が死なない)ルートに選んだとして主人公が本当に幸せになれるのかと言うと、それもまた疑問だ。もしかしたら、未来を変えないという選択をする可能性も十分にある。いずれにしろ、明確な結末を示してないからいくつもの可能性を想像できるのが良い。