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『利口になるには青すぎる』の内田裕人さんと大沼隆揮さんのコンビによる新作は、熱血競輪ストーリー。
甲子園出場まであとひとりというところまでパーフェクトピッチングを行い、広島の神童とも謳われていた主人公・藤野海(ふじのうみ)が怪我によって野球生命を絶たれ、早逝してしまった母親の分も父親を支えて実家のラーメン屋を継ごうと考えていたところで競輪という新たな熱狂に出逢う物語です。
大沼隆揮さんは『シキュウジ -高校球児に明日はない-』でも顕著でしたが、しっかりとライバルキャラを立てて物語を熱く盛り上げてくれる方ですね。王道スポ根の熱いポイントを踏み締めながら、競輪という競技ならではの駆け引きも見せてくれます。非常に動的なシーンが多い本作に、内田裕人さんも作画をアジャストして疾走感と迸る熱を演出していると感じました。
最初に抱いた夢をそのまま実現できる人は多くはありません。道半ばでの挫折、そこからの方向転換は数多の人が人生で経験するもの。故に、まったく違う道ではあってもその在り方には共感を覚えます。
そしてまた、人生において心の底から本気になれるものというのもそんなにたくさん出逢えるものではありません。幸運にも、それを再び見つけることができた海を応援したくなる父親の心境にも感情移入してしまいます。
私は競輪に関してはマンガで読んだ知識くらいでそこまで詳しい方ではないのですが、サイコミのコメント欄を見ると競輪ファンならではの楽しめるポイントも押さえられているようです。また、投げコインの多さが見て取れて一部で熱狂的なファンを生んでいるのも特徴的です。
物語は既に完結していますが、もっと長く見て行きたかった作品です。
『何万人の人生背負って勝った瞬間は、他のスポーツの何倍もの高揚感がある。それが「競輪」』 甲子園目前で肩を負傷し、野球選手の夢を閉ざされた少年、藤野海。「あのマウンドのような高揚感に包まれる場所は他にない」と自分の人生を諦めていた海は「競輪」と出会う。「たかがギャンブル」なんかじゃない、男と男の真剣勝負。そしてうねりを上げて会場を包み込む熱狂を目の当たりにし、海の心が再び燃え上ってゆく――
『何万人の人生背負って勝った瞬間は、他のスポーツの何倍もの高揚感がある。それが「競輪」』 甲子園目前で肩を負傷し、野球選手の夢を閉ざされた少年、藤野海。「あのマウンドのような高揚感に包まれる場所は他にない」と自分の人生を諦めていた海は「競輪」と出会う。「たかがギャンブル」なんかじゃない、男と男の真剣勝負。そしてうねりを上げて会場を包み込む熱狂を目の当たりにし、海の心が再び燃え上ってゆく――