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【電子版限定:カラー扉収録!】愛になるのは、まだ先のこと……。元・人魚であるヴァンは、声も家族も居場所も失い、今は奴隷として港町の屋敷で働かされていた。新月の日、呪われた島と呼ばれる『フィスカ』の唯一の島民・イェンスと出会う。彼は今まで出会ったどんな人間より優しく思慮深い男だった。たまに会っては食事を共にし、穏やかな時間を過ごしていたある日、イェンスから身請けを打診される。「僕が住む島に君が来るには、僕の伴侶になる必要があるんだ――」 孤独な青年と元・人魚が織りなす、感動のヒーリングファンタジー、第1巻。
マンバの新連載ページでこの美麗な色使いのサムネイルを見かけ、「あとでゆっくり読もう」と積んでいた作品。こんな…こんな…面白いものが読めるなんてもう拝むしかない…。
繊細に描かれる北欧風ファンタジーが作品のメインで、ボーイズによるラブはほんのスパイス程度の、いっっっちばん面白くて毎秒読みたいのに数が存在しないハチャメチャ有り難い作品。ファンタジーが好きなら倦厭しないで絶対読んでほしい。
「1話が釣りから始まる漫画名作説」がありますが本作もそれに漏れません。もうとにかく美しくて…その美しさにほぅっとなっているとこにサラリとナレーションで告げられる「伴侶」の文字。どうやったらこんな美しいお話が描けるんですか…?(現場猫)
農奴や神話など。しっかりとその土地の文化を感じさせる重厚な土台があるからこそ、黄泉の国から返されたイェンスと声の出ない男――地上で奴隷として生きることになった元人魚・ヴァンの関係性の尊さが際立ちます。
絵から伝わる木々や海の美しさ、イェンスが作る温かい食事の旨さがとにかく素晴らしくてうっとりしてしまう。初めてヴァンに拵えた黒パンにチーズを乗せて焼いたものなんて、幼い頃にハイジを観て得た原体験が刺激されてありえないくらい美味そう。
イェンスがヴァンを救うため伴侶に申し出る3話では、ヴァンが差し出した林檎(知恵の実)を2人で分け合って食べていて1人で勝手にはわわ〜となりました。でもこの2人はエデンから追放されるんじゃなくてむしろ2人だけの楽園に住むことになるんだ。エモすぎる…。
(▲『魚と水の森』3話より)
今このタイミングで3話まとめて読めて本当によかったです。これと1話の時点で出会っていたら続きが読みた過ぎて体がねじ切れていました。ねじ切れなくてよかった。
本郷地下先生の過去作を見てみたら、いくつかタイトルだけは存じ上げている作品があって「なるほど。名のある主でいらっしゃったか…」という気持ち。
年始からこんな最高に良質なファンタジーが読めるなんて2024年いい年すぎます。