いろいろな好き
1話から朱里ちゃんの気持ちが痛いほど分かって泣いてしまった…お母さんと言い合いをしても、やっぱり相談しちゃうんだよね…頼りたくなっちゃうよね…。「小さい私のまんまでずっと3人でいれたらよかったなぁ」も共感できてしまって苦しくなっちゃった…。 いろいろな時代の環と周、いろいろな好きのかたち。胸がぎゅうっとなるようなお話ばかりで、一瞬でこの作品の虜になりました。2話の文通のシーンがとても好きで、私も誰かに手紙を送りたくなりました。「あなたの幸せをお祈りいたしますね」大好きなフレーズです。
表紙の男女は最終話に登場した二人だったんですね。この時の悲しい出来事によって二人は時代を超えても巡り合う不思議な縁を持つことになった訳ですが、何度出会っても完全に報われることがない関係性になっているところがよしながふみ先生らしいです。整理してみるとやっぱり環の名前を持つ方が周に執着してることが多いような…。単行本に収録されたエピローグの最後のセリフが「また会ったね」だったので、二人は来世でもまた出会うことになるんだろうと思いますが、振り返ってみると第一話の最後で夫である周が心の中で「この女性と死ぬまで一緒に生きていくんだ」と思ったことに対して妻から逃れられない夫の絶望にも感じ取れたことを考えると、これはカルマから抜け出せない二人の話なのかなとも思いました。