幼少期、父親のDVを受けたトラウマを今も抱えながら警備員として地味な暮らしをしている主人公・鵤(いかる)は、働いているビルに入っているメイド喫茶のメイド・鶴子に恋をしています。鶴子は鵤のような地味な男にも優しく、鵤が上司からの電話によってメイド喫茶から飛び出した際も、思わせぶりな態度で接してくるので鵤の感情はぐちゃぐちゃです。
あらすじによるとサスペンスのようで、言われてみれば鵤の同僚の小倉という男の様子がおかしかったりと、不穏な空気が漂います。舞台が秋葉原という雑多な街であるのにも意味がありそうです。

鵤は鶴子ちゃんにとってかわいいかわいい獲物なんだろう。
恐ろしい女だ。
比喩ではなく彼女はこれから食事を摂るに違いない。

鶴子、三橋さんから見たら天使に見えるかもだけど、読んでる方からしたらずっと「逃げて〜」って思ってるよ

鶴子、三橋さんから見たら天使に見えるかもだけど、読んでる方からしたらずっと「逃げて〜」って思ってるよ

自殺幇助は立派な犯罪だかし…どういう目的でやってるのかわからないけど、三橋さんを支配下において口封じさせようとしているのは悪でしかないな

あー、そうか。手伝わせるというのは自殺幇助の共犯者にして口止めするためで、実際は三橋さんも他の自殺志願者と同じってことか…。

みぁちゃんは生き続けてくれると思うし、そのうえで鶴子さんの存在が心の支えになるのも事実だろうな。二人が出会えてよかった。

ここまでふたりの関係性が踏み込んだものになってしまったら、鵤もこのまま共犯者として続けてしまいそうだなあ。

秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか?

嫋やかなメイドは蝶のように舞い蜂のように#1巻応援

秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか? 春野ユキト
兎来栄寿
兎来栄寿

秋葉原、私も昔はかなり通ったものですが最近はめっきり行かなくなったというか、時間拘束的に行けなくなったというか。『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』で描かれていたようなお店も大分無くなってしまいましたし、まさかとらのあなが無くなるとは思ってませんでした。GiGO4号館も閉まってしまいましたし、そもそも今はネット対戦が主流でゲーセンに行っても対戦相手がいないのが寂しいところです。逆に主にポケカの隆盛もあってカードショップは増える一方で、栄枯盛衰を感じます。他にもコロナ禍でたくさんのお店が消えてしまいましたが、ようやく落ち着きつつある昨今、ここから新たな盛り上がりを期待したいです。歌舞伎町に新しくできた最新のVRゲームをできる施設とか、秋葉原にこそ作って欲しいですしね。 なので、この作品の「アキバはどこかで時が止まったまま」というところには素直に肯んずることができない部分もありつつ、しかし同意できる部分もあります。 "新作アニメを追えなくなった 好きだったゲームのリメイクも積んでる ソシャゲに課金する情熱もない 俺ってもうオタクじゃないのか?" 主人公・鵤のモノローグに共感する人も、今の社会は多くなってきているのではないでしょうか。私も、新作アニメは何とか終えていますが好きなゲームは死ぬほど積んでます。コンテンツを楽しむのにも、時間と心の余裕が必要なんですよね。無理に詰め込もうとしても、何も入ってこないときもあります。ターゲット年齢から外れてしまった場合もありますが、往々にして自分のコンディションが原因だったりするのでそういうときは何とか上手く余裕を作りたいところです。 ともあれ、過去のトラウマに苛まれながら虚無の日々を生きることに疲れ果てていた鵤。そんな彼の唯一の光が、光が警備員として務めるビルのメイドカフェで働く小鳥遊鶴子。優しく天使のようで憧れていた彼女が、近付くほどに妖しさを醸し出してくるサスペンスです。 表紙に描かれているのも鶴子であることから伝わるように、この物語の主軸は鶴子です。彼女の強烈なキャラクターにあります。黒髪ロングストレートの優しいメイドさん、日陰で生きてきた健康な男子が嫌いなわけがない。しかし、綺麗な薔薇には棘があると蔵馬が教えてくれました。 1話目から、毎回最後に強いセリフはヒキのある展開を持ってきていて、続きが非常に気になる構成をしています。単行本で一気読みするのも良いですが、どちらかというと連載で毎回追っている方がより楽しめる作品かもしれません。1巻の続きはコミックDAYSで読めますので、今がチャンスです。 春野ユキトさんは初単行本ということでまだ技術的にこなれていないと感じられる部分もありますが、その分作家性を剥き出しにして描いている緊張感のあるストーリーに魅力があります。鶴子は、鵤は果たしてどうなっていくのか。

無名の君が好きだった

無名の君が好きだった

「もっとみんなに知ってもらいたい」かおりが街で偶然出会ったのは、シンガーソングライターの夏生。活動をはじめたばかりで一生懸命に頑張る彼の姿に惹かれ、夢中になって応援していくが…。 ※この商品は「推しを愛する私たち~推し×ファン~アンソロジーコミック」に収録された作品の1つです。

あきはばらはゆーさねいじあのゆめをみるか
秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか? 1巻
秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか? 2巻
秋葉原はユーサネイジアの夢を見るか? 3巻
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