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手触りが良いファンタジーだなぁ、と一読して感じました。絵柄的には綺麗で今感もあるのですが、その一方で作品全体がまとう雰囲気はどこかノスタルジックなものも漂います。
顕著なのは、1ページ目。
″だが塵に帰す子らよ――
かぐわしい花々
ビロードのような大地は
かの木陰へと導くための
見知らぬ先導だったのだ″
というナレーションと象徴的な一枚絵から始まるこの物語が始まっていくところは、古き良きファンタジー少女マンガの香を感じます。「ビロードのよう」という比喩表現が個人的には何とも落ち着きます。
作品の設定については、敢えてここでは説明しません。とりあえず1話の試し読みを読んでいただければと思います。詳しくは語りませんが、設定の妙は本作の美点です。
また、キャラクターはもちろんですが背景や小物が密に描き込まれているところも大きな長所として挙げられます。微細に彩られた世界は目で見ているだけでも楽しめますし、読んでいるひととき違う場所へ誘われる感覚に気持ち良く酔い痴れることができます。こういった、描き込みが細やかなファンタジーが私は大好物です。
現実とは違う理が流れる世界が提示され、想像力が刺激される。視覚的にも物語的にもファンタジーの愉しみに溢れた作品です。
1巻最後のような強い引きもあって、続きもどうなっていくのか気になります。
記憶――それは人の生の記録。“記憶の一族”の少女ララは死を迎えた人間のもとへ向かい、生前の記憶を集めることを生業としていた。多彩な生の歩み。多様な生の結末。同じものは一つとしてなく、それぞれの人生がある。ララは人という存在に興味を抱くも“記憶の一族”の歌い手で姉のアリデラに『人に直接関わってはならない』という一族の掟を守るよう諭される。――どうして人と関わってはいけないの?興味から生まれた素朴な疑問。その疑問はやがて少女の生き方を変えていく。これは一人の少女が紡ぐ記憶と歌の物語――。
記憶――それは人の生の記録。“記憶の一族”の少女ララは死を迎えた人間のもとへ向かい、生前の記憶を集めることを生業としていた。多彩な生の歩み。多様な生の結末。同じものは一つとしてなく、それぞれの人生がある。ララは人という存在に興味を抱くも“記憶の一族”の歌い手で姉のアリデラに『人に直接関わってはならない』という一族の掟を守るよう諭される。――どうして人と関わってはいけないの?興味から生まれた素朴な疑問。その疑問はやがて少女の生き方を変えていく。これは一人の少女が紡ぐ記憶と歌の物語――。