多感な中学生の描写が見事。そして前半と後半のギャップに戸惑う
ちーちゃんは九九も怪しいちょっとおバカな感じだけどいつも楽しそうで、ちーちゃんとその友達の日常が前半では楽しそうに描かれている。ちょっとおバカなんだけど憎めないところがあってみんなから愛されているなぁというのが節々から伝わってきてほっこりもする。 後半はある事件をきっかけに不穏な空気が流れ始めて、さっきまでのほっこりかわいいという感覚が一気に消え失せて痛いくらいヒリヒリする。 前半で描かれている女子中学生の天真爛漫さも、後半で描かれている暗さや焦りもどちらも自分が中学生の時に感じたことのある思い出ででそれを強引に引っ張り出された感じがした。後半は結構暗い展開になっていくんだが、ただちーちゃんのちょっと足りない感じに救われもした。面白かった。
ほんわか日常系コメディかと思いきや…何だろうこの読後感、とてつもなくモヤモヤするんだが。(褒めてます)
『不満を抱えるのは決して悪いことではない。現状に満足したら人は成長しなくなるから。』と以前どこかで聞いた事がある…。なるほど確かに成長へと繋がる事もあるかもしれない。けれど世の中そんな前向きな人間ばかりではないだろう…私も含めて。
劣等感、嫉妬、妬み、不安…そういった出来る事なら目を背けたくなる感情を容赦なく突きつけてくるから心に刺さるのだ。