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まず、表紙と扉絵のカラーイラストから独特の雰囲気を放っています。素朴で、牧歌的で、アナログ水彩の滲みにどこか安らぐような懐かしさも憶えます。
そして、本編を読み始めると第1話の筆致に驚くことになるでしょう。枠線と吹き出し以外は、人物も背景もすべてが筆ペンか何かで描かれています。ごく稀に筆ペン主体で描かれるマンガもありますが、それらと異なるのは宮乃ミトさんの画風がかわいい寄りなこと。筆ペン系はリアルな画風に寄りがちで、これだけかわいいキャラがこうした荒々しい線で描き連ねられるのは珍しいです。しかも、2話以降はまた画材も変わっていきます。物語と共に絵も変わっていくのは面白い読み心地です。
舞台はラテンアメリカのどこかの国とのことで、以前描かれていた読切の「かえりみち」もメキシコが舞台だったのでラテンアメリカに強い興味があることがうかがえます。マンガでその辺りを掘り下げる人は少ないので、絵柄と相俟って独自色を出す要因になっています。
ストーリーも読むと心がほぐれて温まる内容となっており、癒しを感じます。
この魅力溢れる絵の世界に浸ってみませんか。
父の形見を探す少女の、心温まる物語