単なる健康ブックではありません‼︎
幼い頃に母親を亡くし、高校生となってから父親を亡くした蜜子は、親戚の家に住むことになりましたが、その家族は過度の健康オタクだったのです。最初は戸惑いながらも、知らずのうちに自分も健康オタクになっていく蜜子ですが…。 ところどころに様々な健康法や健康料理レシピが紹介があり、実用的な健康ブック的な漫画かと思いきや、しっかりしたストーリー展開があり、笑いあり、ロマンティックな場面あり、涙あり、と最後まで気持ちも高まりを抑えられずに一気に読み進めることの出来た作品でした。 後半、期待が裏切られた悲しい展開で涙が止まらなかったものの、最後にはこれまた期待通りのハッピーエンドと、全巻読み終わった後の気分は爽快だったのが救いでした。
素直に感動したと言っていいのか思い悩んでいる、というのが正直な感想です。
父を病気で亡くした女子高生・蜜子が健康オタクの叔父夫婦の家で暮らすようになり、恋に健康に将来の夢に…と成長していくお話。
間違いなくいい話。でも健康オタクの度合いがなかなかに過激派すぎてついていけないのですよ…。
野菜やフルーツ中心の食生活はまあわかる。野草をつんで酵素作り、まあうんギリわかる。
飲尿にコーヒー浣腸…。うーん…。オーリング…。なんかもう、うーん。
とは言え押し付けがましいことはしないし、愛に溢れる優しい一家なので、読んで行くうちに人柄はだいぶ好きになれた。めちゃくちゃいい人達なだけに引っかかる、とも言えるけど。
過激派健康法はさておき、ストーリー自体は少女漫画らしくキュンキュン要素も多め。
蜜子と同居するイケメンイトコ・長介の恋物語なのかな?と思いきや、自由奔放でチャラいイケメン・束木との恋物語。
酒と煙草とジャンクフードを好み、持病を抱える束木に野菜料理を振る舞ったり、適度な運動を促したりするうちに健康になってハッピーエンド…だったらよかったのに。
父を病気で亡くした蜜子だから、幸せになってほしかった。好きなようにさせていた父を失った後悔に苛まれていた蜜子が、好きなようにさせてあげられなかったことを後悔している姿は見ていられなかった。そういうストーリー、ということを忘れるくらいに辛かった。
不摂生する人を論うような漫画ではない。酒や煙草やジャンクフードが束木を殺したという描写は一切ない。
そういうことが言いたいの?って一瞬でも邪智したわたしが間違っている。でも。でも。
ストーリーを批判したいわけではないのだ。ただ、みんなが幸せであってほしかった。束木は顔だけでなく心もイケメンで、優しくて明るくて本当にいい奴だから死んでほしくなかった。
束木の死を乗り越えた蜜子を見て、思わず泣いた。
健康であれ不健康であれ、残されたものは前を向いて生きるしかないのだ。思い出を寄せ集めて、幸せであったんだと信じて、生きるしかない。
健康な者だけが幸せになれるなんて物語じゃない、自分の歩んできた道を信じて生きることこそが大切
そういうメッセージだけを、この漫画から受け取りたいと思います。