クライムを、人生を貴女と共に #完結応援
スポーツ物で、頂点目指して体を酷使し争う熱い物語が面白い、という事に、私も異論はありません。 しかし、ユース世代の競技者がオーバーワークの結果、怪我で競技を続けられなくなったり、心折れて競技自体を嫌ってしまったり……という話を聞く度に、もっと他の道はないの?と問いたくなるのもまた事実です。 クライミング競技の良い所は、トップを目指して凌ぎを削る世界がある一方、みんながそこを目指さずに、それぞれの達成度で「昨日の自分を乗り越える」喜びがある所だと思います。 その上で、『ぽちゃクライム』の主人公つぐみは、初心者ながらコンペに挑み、楽しさと緊張感、そして悔しさを抱き、ボルダリングにのめり込んで行く。 クライミングは個人の力でするけれど、その力は周囲の関係性から貰える力である……としゅう先輩の姉から語られる時、クライミングは単に勝敗を争う「競技」から、様々な関係性の中で歩んで行く「道」へと開かれて行きます。『ぽちゃクライム』では、つぐみとあいらが共に歩む道として、またはしゅう先輩となのこの過去と未来として。 スポーツ競技者の間に「関係性の物語」を丁寧に組み込んだ、きらめきに溢れる物語。クライミングも人生も、二人寄り添い励まし合い、進む喜び……こういう穏やかで明るいスポーツのあり方もいいなぁ、と思いました。
高校で再会した幼馴染は、スリムで綺麗になっていた!ボルダリング部に勧誘する幼馴染・あいらに「ダイエットになる」と乗せられ、それなら……と、ぽっちゃり女子つぐみは試しに壁を登る。
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それにしても確かにダイエットにボルダリング、良いかもしれない。
一人でジョギングやジムは辛くて飽きそう。けどバレー部だのバドミントン部だのは、レギュラーだ規律だと煩くて、別の意味で痩せそう。その点ボルダリングは、個々の達成度や目標設定で進められ、求道的だけど押し付けがましくない。仲間に恵まれれば、ギスギスしない向上心がある、楽しい全身運動の趣味になるだろう。
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あいらと二人で壁を攻略し、初めてのゴールに運動苦手なつぐみは感動し、即座にボルダリング部へ入部!優しい部の雰囲気のおかげで次第にボルダリングにハマっていく……んだけど、この子、甘味はまだ食べてる。……ダイエットは?
そしてそれを止めないどころか、むしろ甘味を与えるあいら。彼女はふんわり白肌のつぐみが大好き。つぐみに見惚れてキュンキュンし、彼女の一言ですぐ挙動不審に。……ダイエットは?
百合要素もありつつ、ボルダリングの道具やテクニック、心構え、そしてつぐみの成長もしっかり描かれ、次巻、つぐみ始めてのコンペ(競技会)へ。
今のところ「アスリート系」というより「部活日常物」っぽい。細い線の絵柄も安定して可愛く、キラキラふわふわした表現が爽やかに甘い。関係性の安定している百合作品として、気軽に追いかけたい可愛い作品が、また一つ生まれた!(そしてその先にダイエットの可能性があるのかも、併せて見て行きたい)