とても面白いのにもっと話題になっていいよなあ
過去と向き合うという地獄
監禁嬢 河野那歩也
あなたは今までどれだけの人を傷つけましたか?
と問われて、正確な数字を答えられる人はきっといないはず。
傷つけたことすら気づいてないことも、忘れてしまったこともたくさんあるはず。
そんな過去が今の自分をぶち壊しにきたら、どうする?
愛する妻と子どもと暮らす、平凡な高校教師・岩野。
ある日突然、カコと名乗る女に監禁され日常が奪われていく。
カコの正体と目的を突き止めるべく、岩野は自らの過去と向き合っていく。
過去に交際していた女性達と会うたびに、蓋をしていた記憶が開いていく。
人は誰しも思い出したくない過去はある。
傷つけたり傷ついたりした記憶ほど忘れたいものないので、その傷をひとつひとつ突きつけられるなんて拷問だよ…と岩野に同情してしまうほど。
黒歴史と笑い飛ばせない過去くらい、人にはあるものでしょう。それによって現在進行形で傷ついている人がいたとしたら、どう生きていけばいいのでしょうか。
カコの正体と目的を知り、岩野が出した答えが妥当な気がした。正解ではない気がするけど、人は生きてかないといけないし。
すっきりしないくらいがちょうどいい。過去は消えないものだから。