ちょっとした超能力が使えるのが取り柄の南丸こと、ナン丸はある日、知り合いでもない民俗学の教授・丸神から呼び出しを受けた。だが丸神は調査のため「丸神の里」へ行ったきりで戻っておらず、残された研究生からは「教授とナン丸は、同じルーツを持つらしい」と告げられ、心当たりを尋ねられた。だが何も知らない――。いっぽう「丸神の里」東北の丸川町では、殺害方法のわからない猟奇事件が起きた。失踪した丸神教授の研究内容と足取りを追って、丸神ゼミとナン丸は「丸神の里へ」おもむくが…。
江角風花は小学5年生。心は純粋無垢な子供そのものだけど、体だけはスーパーモデル顔負けのナイスバディ。そんな彼女は母親と二人で暮らしていたが、母親の仕事の都合でいとこのジロー一家に預けられることになってしまった。引越しのその日、ジローが家に帰ってくると、玄関に素っ裸の風花がいて……!?ナイスバディにピュアなハートを併せ持つ風花は、その魅力で世の中の男どもをみ~んな虜にしてしまうのだ!!
▼第1章/雪子さん▼第2章夕ごはんから朝ごはんまで▼第3章1節/料理屋の息子 前編▼第3章2節/料理屋の息子 後編▼別章1節/夕方のおともだち 前編▼別章2節/夕方のおともだち 中編▼別章3節/夕方のおともだち完結編●主な登場人物/浦山雪子(親の借金のカタに町長の妾になる。町長の家で暮らしながら、高校に通う)、海場太郎(海場町の町長。妻は元同級生)、鳴子(町長の正妻。毒薬マニア。元は妾だったが、元々の正妻を毒殺し、現在は正妻の座におさまっているという噂を持つ)、肉彦(町長の息子、のはずだが、母親が誰なのか、父親も町長ではないかもしれない、という不思議な存在の子)、佐場(画家。海場と鳴子とは同級生。以前、鳴子と駈け落ちしようとした過去がある)●あらすじ/ユキ子は借金のカタとして親に売られてしまい、海場町・町長の妾として彼の家で暮らすことになった。そこには、鳴子と肉彦という、ひと癖もふた癖もある人物たちがいた(第1章)。▼町長が画家・佐場を連れて帰ってきた。誘われるまま佐場に付き合うユキ子。そこで佐場はユキ子に「こんなところにいてはダメになるから、一緒に駈け落ちしよう」といいだすのだった(第2章)。●本巻の特徴/自分が初めてM体験をしたときの女王様ユキ子を求めて、プレイを繰り返すヨシダの渇望を描いた『夕方からのおともだち』同時収録。
▼第1話/地平線からやってきたアイツ!! ▼第2話/夕陽に向かって突っ走れ!! ▼第3話/見る前に飛べ!! ▼第4話/その男凶暴につき▼第5話/縛られたおっぱい▼第6話/真夏に降る雪▼第7話/別れの銃声▼第8話/裂けた旅券▼第9話/呪われた山▼第10話/悪霊の群れ●登場人物/シンジ(高校3年生。女にフラれて、コ-とともに北海道にツ-リングに出かける)。ス-(年齢不詳、自称根無し草のナイスバディ。インディアンチ-フに乗っていた男を10年間追い続けている。腕にバイソンの刺青あり)。コ-(バイク好きの高校3年生。少々頭がキレやすい)。●あらすじ/高校最後の夏休み、北海道にツ-リングにやってきたシンジとコ-。閉まっているスタンドからガソリンを盗んでいたその時、一台のバイク、インディアンチ-フがやってきた。だがそこに、このバイクを追ってきたヤクザまで現れ、抗争に。コ-のバイクを巻き込み、インディアンチ-フはまんまとヤクザから逃げおおせるが、バイクをおシャカにされたコ-は怒り心頭。シンジとともにインディアンチ-フの後を追う(第1話)。▼インディアンチ-フにまたがっていたのは女だった! やっと見つけた彼女にバイクを弁償するようもちかけたふたりは、そこでひとつの条件を提示される。チキンレ-スをしてコ-が彼女に勝ったら、バイクは弁償する、だが負けたらふたりは女の子分になれというのだ。話にのったコ-は、シンジのバイクでレ-スに臨むのだが…(第2話)。●本巻の特徴/インディアンチ-フ「バイソン」にまたがった謎の女・ス-と、彼女の子分にさせられたシンジとコ-。ヤクザに追いかけられ、危ういめにあいながらも、3人は心を通わせていく。そして、10年間ひとりの男を追い続けているというス-は、彼の消息を知ったとたん、シンジとコ-と別れ、ひとりで「魔の山」と呼ばれる場所へとのりこんでいくのだった。そして置いていかれたシンジとコ-は家に帰るのを延期して、ス-の後を追いかける。
九州男児、暮内天馬が柔道の武者修行のためやってきた関東で大暴れ!! 真の天才の生き様と成長を青春の巨匠、吉田聡が描く脳味噌筋肉系男道譚!! 柔道部員の策略によって、編入早々天馬が重量級高校チャンピオンと戦わされる。数十キロもの体重差をはねのけて、天馬はチャンピオンと互角の戦いを繰り広げるが…。
▼第1話/司、11歳 ▼第2話/ま!そんなもんだろ ▼第3話/え!なんでそーなる!? ▼第4話/あ!こんなもんかも ▼第5話/18歳の誕生日 ▼第6話/好きだから ▼第7話/早く大人になってね ▼第8話/夏休みの幸先 ▼第9話/紗英ちゃんに会いたい ▼第10話/reーhabilitate ●主な登場人物/飯島司(小学生の頃からの俊足が認められ、陸南大学付属の高校に推薦入学したが、ただいま伸び悩み中)、前田紗英(小学生の時に大阪に転校してしまった司の初恋の少女)、坂上凛(司が中2の頃からお世話になっている美容師)、沢井淳子(司の小学生の頃の同級生。司の幼なじみである「かっちゃん」と付き合っていたが…)、マービン教授(司をスカウトし、陸南大学付属高校に推薦入学させた陸上部顧問) ●あらすじ/小学5年生の司は性に目覚めたばかり。仲間のかっちゃんやタジやんと変態少年隊まで結成する始末。そんな彼には気になっている女の子がいる。同じクラスの前田紗英。彼女は昨年、交通事故に遭ってしまいい、母親を失い、自らも足に障害を負ってしまった(第1話)。 ▼中学3年の司は、かっちゃんから公園に呼び出される。どうやら沢井のことらしい。自分が身を引くから、沢井と付き合ってくれというのだ。勢いで沢井とヤッてしまったとはいえ、紗英のことが忘れられない司は、なんとか断ろうとする(第4話)。 ▼高校3年になった司はインターハイの出場メンバーに入れなかった。短距離走者の道よりも女の方を選んだ司は、凛さんの家にいりびたりになる(第5話)。 ●その他の登場キャラクター/かっちゃん(第1、2、4、8、9話)、タジやん(第1、2、4、9話)
▼第5話/バットを鍋に持ち替えて中華野球拳▼第6話/夢をあなたへペット天国▼第7話/エレキ再び電気屋▼第8話/そのまんまです高田マネキン紹介所▼第9話/一見様お断り天心▼第10振り返れば奴がいるカットサロンBLACK敵か味方か▼第11話/集まれ仲間たちとれいん▼第12話/あの人は今こんな事を松山勝太郎の店▼第13話/歴史はここで作られる赤坂料亭富士▼第14話/だれにも知られずにそっとあなただけにクサヤ千石堂▼第15話/書は心の泉坂田書店▼第16話/ドラゴン初めてのおつかい八百政魚政▼第17話/あの黒服がいる店六本木黒服▼第18話/麺類による人類支配ラーメン帝王▼第19話/性で心を奪ってしまえ大人のおもちゃKKD▼第20話/オプショナル革命メガネマート▼第21話/てめえら金じゃねえ金物辰▼第22話/もう、やみつきドラッグヤマウチ▼第23話/手作りです!手で作ってます!ベーカリーBABA▼第24話/復讐の鬼宣言不死身北町店▼第25話/他の店のは、とうふじゃねえ!手作りのとうふみとや▼第26話/マスターが一番の名物かもねモンカへ▼第27話/たけだけしいですフラワーショップ花ぬすびと▼第28話/そこに笑顔がある陽気なトムの店▼倒産覚悟売りつくしセールの章▼第29話/スピード一番星おでん隼▼第30話/夕闇の華バー黒蜥蜴▼第31話/数々の苦労と挫折を乗り越えて三笠松太郎商店▼第32話/くさい…でも行きたい松の肥▼第33話/ふるさとの味おふくろの味あけぼの食堂▼第34話/夏はやっぱりこれだねひえひえ弁当▼第35話/昔から横丁のかどにずっと。そしてこれからもたばこの平野▼第36話/どうなってるの間商店▼第37話/よきにはからえ殿の店▼第38話/変態さんいらっしゃい変質屋▼第39話/プラッシーいまだに健在俵屋米店▼第40話/いろんなもの写します木下写真館▼第41話/冷えたまなざし乾いた笑い皮肉屋▼第42話/彼は店を持たない。なぜなら彼自身が居酒屋だからだ。居酒屋ジョージ▼第43話/こんな時代やさかい高う売るでえ暮利松▼第44話/一歩そこにはいればそこはパリビストロール・シェール▼第45話/商売敵
ことしも夏がやってきます。何やらことしは猛暑になるそうで、夏を迎える準備は出来ているでしょうか? 夏の情景を想像してみてみましょう。まだ夜の涼しさをのこした光りかがやく希望に満ちた朝、狂ったような太陽に照らさせて蜃気楼さえ見えてしまいそうな日中、沈みかけの夕陽が乱反射してちょっぴり切ない夕方、冷えたビールをゴクリと酔いも手伝い不埒な予感な熱帯夜などなど。夏、夏、夏、ほんとうに夏って魅惑されますね。どの瞬間を切り取っても胸を鷲掴みにされてしまいます。さて、私の夏好き話はこのぐらいにしておいて、皆さんにはこんな経験がお有りでしょうか? 暑い夏の昼下がり、涼しい部屋のなかで映画なり漫画なり小説なりを見たり読んだりして、物語の世界に入り込んでいる。読み終えて現実の世界に戻ってくると、どこからか蝉の鳴き声が聴こえてくる。立ち上がり、窓を開けると猛烈な熱気と狂ったような蝉の声がクーラーで冷えた身体を直撃する……。そんな時って、一瞬、現実と非現実の区別がつかなくなったりしないでしょうか? そんな夢まぼろし、白昼夢のような世界へと貴方をいざなう一夏の物語が『七夕の国』です。 作者は『寄生獣』や『ヒストリエ』でお馴染みの岩明均。乾いた作風なのに不思議な後読感を残す、ドロドロした内容なのに妙に風通しが良い、なんとも掴みどころがないんですよね、この人の作品は。もっというと、絵もそんなに上手いわけではないし、だからといってヘタウマな魅力があるわけでもない。特徴といったら、多用する苦笑いみたいな表情くらいのもので、なんだかな~という感じです。でも、不思議と彼の創り出す世界には引き込まれてしまいます。 何年か前に江口寿史が漫画の背景がトレース技術の向上と多用によって写実的になっている傾向に対して、浅野いにおや花沢健吾の名前を出して批判したことを発端に大きな論争になったことがありました。その際、江口寿史は岩明均の名前を出して「岩明均さんという漫画家さんがいらっしゃいますね。あの人の絵はこう言っちゃなんだけど、そんなに上手じゃない。絵も構図も演出も簡素です。なのに、何十億もかけて撮った映画以上にドキドキハラハラ面白く、感動させる物語を見せてくれる。僕はここらへんに漫画表現というものの謎というか秘密というかパワーを感じるんです。」といっていたのです。これを見てなるほどな~と感心しまして、改めて岩明均の宙ぶらりん(あるいは唯一無二)な魅力を再確認したのです。 そんなわけで岩明均の魅力を説明するのは大変そうなのですが、それでもひとついえそうなのは、苦手な部分を長所で補っているということだと思います。漫画表現力、江口寿史が挙げていた絵や構図や演出、その他にも幾つかの要素があるとは思いますが、岩明均はそれらの能力の殆んどが平均値かそれ以下なんですよね。いわゆる、人気漫画家という方々はこれら漫画表現力の各要素が総合的に高いのでしょう。では何故、岩明均の漫画が魅力的なのか?それは、ほとんどの能力がダメでも、いくつかの部門で圧倒的に突出した強みがあり、さらに、それを魅せるのが上手いということなのではと思うのです。逆にいうと、ダメな部分を隠すのが上手いとも言えるかもしれないです。何しろ、弱みに対して強みが圧倒的なので、他の人気漫画家のそれと比べても、より深く読者をエグることができるのでしょう。 浅野いにおにしても花沢健吾にしても各能力が高いだけに作品自体が放つ雰囲気が華やか(内容とは関係なく)ですよね。対して、岩明均の作品はどうあがいても地味な雰囲気が漂っているのですが、ひとつの道を極めた魅力というものには凄みがあり、"いぶし銀"といった言葉が良く似合います。 何はともあれ、『七夕の国』に話を戻しますと、時期的には『寄生獣』と『ヒストリエ』の間に描かれた作品です。SFと歴史物ではずいぶん差があるように思うかも知れませんが、作者本人にしてみれば過去も未来も同じように未体験で未知な領域であるからして似たようなものなのでしょう。『七夕の国』はそんな気分を象徴するかのようにSFと歴史を一緒くたに引き受けたトンデモ誇大妄想物語です。それを現代目線であっけらかんと描いてしまうから不思議なものです。 最初にもいった通り、ひとときの夢まぼろし、白昼夢のような世界へと誘ってくれること間違いないでしょう。一番最後のページで、浴衣姿でうちわを持ったヒロイン的な女の子が「ようこそ。」って言うのがすごく効くのです。これほどまでに夏を感じさせる漫画はなかなかないのではないないでしょうか。いや、実はぜんぜん夏っぽくはないんですけど、やっぱりそこここに夏が漂っているような気がするんですよね……。