巨人の星

だいぶ思ってたのと違ってました・・

巨人の星 梶原一騎 川崎のぼる
酒チャビン
酒チャビン

子供のころ、アニメはテレビで何回か見たことがありましたが、マンガの方は読んだことがなく、あらすじもよく知らなかったため、流石に名作は一度は読んでおいた方がいいだろうということで、2022年の締めの記念に手に取りました。 アニメや巷間言われてるような評判からすると、もっとゴリゴリのど根性もので、ものすごいストイックでマスラオ振な主人公がムンムン男漢してるかと思っていたのですが、ちょっと違いました。 とにかく全員が喋りすぎます。。。なんでそのような行動・発言に至ったのかの心情なども、逐一細かく丁寧に全部文字で喋ってくるので、情緒感が薄いように個人的には感じました。もっと画やコマ割りや文脈などで表現する(というか読者に読み取らせる)部分があっても良かったと思うのですが、原作がついていることも関係あるのかもしれませんね。子供を読者と想定していたこともあるのかもしれません。 そしてめちゃ湿っぽいです!よく言えば繊細な登場人物という言い方になると思うのですが、ジメジメ感がすごいです。。個人的にはそこまででもないような出来事でも、かなり気にしすぎ、引きずります。当時の人は気にならなかったのでしょうか??現代人が当時の人に比べてドライすぎるということなのかもしれませんね。主人公と伴の絡みもかなりウェットで中盤はBLの領域にまで至ってるように感じました。 ただそのあたりも、作中、主人公の父が「ほんとうの強さとはいかにも強そうに張り切った見せかけよりも、一見優しげなものの中に秘められとる場合に多い」と言っているので、あえてそういう表現にしているのかもしれません。 ただ、野球マンガでありながら、ドラマ中心で、試合のシーンを冗長に描かないところはすごく良いなと思いました。話自体も湿っぽさを抜きにすれば面白いです!テンポも抜群です。途中明らかなトンデモ理論も飛び出しますが、その辺りは全然気にならなかったです。マンガですもんね。大リーグボールが生まれるたびに、そのカラクリを予想しながら読むのも楽しかったです。

逆境ナイン

これは相当上位にランキングせざるを得ない野球マンガ

逆境ナイン 島本和彦
酒チャビン
酒チャビン

失礼ながらそれまで全然存じ上げなかったのですが、半年くらい前に初めて作品に触れて、いまはサインをもらいたいマンガ家ベスト3に入ってくる島本和彦先生による野球マンガです。 アオイホノオをはじめとするマンガ家マンガの面白さについては大信頼をしていましたが、その他のスタイルのマンガについては、これまた失礼ながら完全にナメてました(だってアオイホノオで描かれているものが軒並み面白くなさそうだったんですもん!!)。 が、WBCに備えて世の中の全野球マンガを制覇しておこうとしている以上、避けては通れないということで手に取りました。 これは相当上位に来てしまいます。 もう第1話からめちゃ面白いです!!! あとはとにかく作中に通底する熱いメッセージがとにかくしびれます。最後の最後、飛行機がなぜあんなに高く飛べるのかについての答えとして、「すさまじいばかりの空気の抵抗があるからこそなのだ‼︎」で脳天にカミナリが落ちました。 努力や特訓を描いてその大切さを説くマンガは多く、そういったマンガはわたしも好きなのですが、このマンガは正面から努力や特訓のシーンを描くのとは少し違った形で、そういったものの大切さを教えて下すってます。こういうやり方もあったんか。。。 あまり努力とか頑張るとかそういう熱さが似合わない時代なので、多分この作品を面白いと感じる人は少ないと思いますし、あえて読んでほしいとも思わないのですが、島本先生には引き続きわたしのような者を熱くみちびく作品を著し続けてほしいと心から願っています。サインください!!!

プレイボール

キャプテンと同一世界線の物語!

プレイボール ちばあきお
酒チャビン
酒チャビン

月刊少年ジャンプで連載されていたキャプテンと同時期に週刊少年ジャンプで連載されていた作品です。連載開始時期は1年ほどこちらが後です。 元々キャプテンが盛り上がっていた、ちば(あ)先生に週刊少年ジャンプでも、との話があり、アメフトかラグビーマンガの準備をしていたらしいのですが、ルールの把握等に時間がかかり、高校入学後の谷口選手の話を繋ぎで描き始めたところ、ちば(あ)先生の方でも興が乗ったために連載となったようです。 必殺技等がない正統派野球まんがですし、敵味方ともに超人がいない世界観の中で、キャラを立たせるのが非常に難しく、試合展開も普通っぽくなりがちな中で、キャプテン&プレイボールを同時に連載されていたので、読者を飽きさせない工夫を考えるのは相当大変だったと思います。 事実、正直私も両作品とも中盤以降はちょっと飽きましたので・・・ ただやはり谷口キャップのキャラが素晴らしく良いですね。爽やかというか気持ちの良い方です。私も谷口選手のような人を目指さねばなりません。あとは半ちゃんが好きです。自分は全然出る予定もないのに城東にもらったメモを見直して、ベース寄りに立つ攻略法を気づくきっかけを作ったシーン。自分もプレイでは貢献できないけど、なんとかチームの勝利のために、という気持ちが現れている気がしてすごく良いです!! キャプテンの方は、谷口選手は割に序盤で引退&卒業してしまうのですが、こちらは物語の全部にわたって、その谷口選手が活躍するので、谷口ファンの女性にはプレイボールをオススメします。 後半、丸井が編入してきたり、五十嵐が入学してきたりと、だいぶ戦力も整って、これは甲子園を現実的に目指せるぞ、といういいところで終了してしまいます。 ドクターストップだったようで、仕方ないですが、これくらいの余韻を残した終わり方で良かったのかな、という気がします。話のゴールとしては読者にも見えてしまっているので(がんばって甲子園優勝する)、あえて描かないというのも選択肢かなと思いました。 コージィ城倉先生の手による続編があるようですが、正直蛇足かな、と思って読んでおりません。コージィ先生は好きですが、読むつもりも今の所無いです。 余談ですが、丸井の編入後は、それまでセカンを担当していた鈴木と全く見分けがつかず、読むスピードが激落ちしてしまいました。

キャプテン

4世代にわたる大長編野球マンガ!!

キャプテン ちばあきお
酒チャビン
酒チャビン

表紙のとおり、野球マンガです。特徴としては、墨谷二中の野球部のキャプテンが4代にわたって主人公をつとめる、リレー形式のマンガという点です。 谷口キャップ→丸井キャップ→五十嵐キャップ→近藤キャップ マンガは主人公のキャラクターが大事と思いますが、4者4様なので、その都度結構作風・校風が変化します。初代の谷口キャップは、素質はそこまででもないと思いますが、とにかく努力の人で、読む者に勇気を与えてくれます。谷口キャップ時代の面白さに文句をつける人はいないと思います。 わたしが次に好きなのは、近藤キャップ時代です。丸井&五十嵐の時代にも、近藤キャップは登場してましたが、そのときはいけすかないキャラ設定で、正直好きになれず、五十嵐キャップの次のキャプテンが近藤キャップに決まったときは、「これでこのマンガも終わったな」と思いました。 ですが、近藤キャップはキャプテンになってからものすごく変わりました(変わりきれずに退場になったりもしてしまうのですが・・)。それまでの墨二は、ものすごい練習量で、言い方は悪いですが、とにかくシゴきにシゴきまくって欠点を修正し、チーム力をアップさせるやり方を採っていたのですが、近藤キャップに変わり、皆の長所をうまぁく引き立たせて、野球を楽いと思いながら前向きに頑張れるように導くスタイルに変化します。練習量は激減しますが、逆に成果は落ちてなくて、下級生たちの実力も選抜大会出場校の選手と比べても遜色のないほどに成長していきます。 どちらが良いとかは一概には言えませんが、素質はありながらも1年のときから先輩たちにバカだの何だの言われて怒られ続けてきた近藤キャップだからこそ、できない人・怒られる側の気持ちがわかり、その人達の実力を引き出すことができるんだなと思って感心して読みました。最終盤で近藤キャップがお父さんと相談して作った練習計画ノートが出てきたときは感動で咽び泣きました。 丸井と五十嵐の時代は、わたしは読んでてダレてしまいました。正直読破を諦めようかとも思いましたが、最後近藤キャップの活躍が見れて、がまんして読んで本当によかったです。 丸井も合宿の掃除や炊事を買って出たり、悪いやつではないのはわかるのですが、正直でしゃばりすぎだと思います。基本いいやつだとは思いますが、出てくる度にがっかりしてました。タイムとかも取りすぎです。 谷口キャップと近藤キャップのところだけなら★5でいいと思います。

1・2の三四郎

タラッタ リッタ タッタ タ〜〜〜〜ン

1・2の三四郎 小林まこと
酒チャビン
酒チャビン

小学生のとき、蓄膿症で耳鼻科に通っていたのですが、待ち時間がべらぼうに長かったのですね。そのときお世話になっていました。 いちおう、他にはキャプテンかプレイボールのどっちかもあったのですが、断然三四郎の方が面白く、大ファンでした!! 当時、田舎の小学生の間ではジャンプが王道中の王道で、マガジンを読んでいる人はクラスに一人もいなかったですし、まだコンビニもなかったため、売っているところもあまり見かけない感じで、そのマガジンに連載されているというのは小学生時代の私にとってものすごくミステリアスで、何か遠い異世界で連載されているマンガなのではないかという感覚を抱いていました。当時の茶色地に白でKCKCKCKCKCと印刷された講談社コミックスのいでたち(センスどうなんですかね)も、ジャンプコミックス(確かカバーを外してもキャラの絵が書いてあった気がします)に馴染んだ私にはものすごく異世界感がありました。 さて、内容ですが、今読んでもかなり上位にランクインできるほど完成度の高い作品だと思います。 基本的にはギャグよりのスポ根(ラグビー、柔道、プロレス)ですが、70年代特有のシリアスさもあり、ドラマ的なストーリーとギャグのバランスがものすごく素晴らしいです!!!全体的にジメジメ感はなく、切ない場面もカラッとしています。そこもわたしの好みに合っています。カラッとしててもグッとくるところはちゃんとグッとくるのがすごいと思います。 後半登場機会がめっきり減ってしまいましたが、ラグビー部時代の盟友・飛鳥が三四郎のことが好きで、たまに三四郎がラグビー部の練習に来ると、本当に嬉しそうな顔になってるところもいいと思います。 ひとつ個人的に残念な点をいうと、後半に行くに従って志乃のすぐ泣くキャラ設定がなくなっていってしまったのがもったいなかったと思います(2ではほぼ別キャラになってます)。 基本誰が読んでも楽しめると思いますが、男子に特にオススメです。