きぬぎぬのこえ
声なき「こえ」が恋を詠う――唯一人、あなた様に、愛されたい……と■決して「愛」を口に出してはならない……それが【加護】を発動させるために架せられた残酷なる巫女への戒め。銀灰の髪を持つ「惑わしの森の巫女」白蓮は、勝ち目のない戦に臨む黒耀と出会い、互いに一目で惹かれ合った。天下人の甥として重圧で潰れそうな日々を過ごす中、それでも生きようと藻掻く黒耀の美しさに打たれた巫女は、ひとつの決意を胸に秘める。我が身の純潔と引き換えに生還の加護を与えようと。しかし、幾度も夜を重ねるたび、黒曜も彼女に愛されたいと乞い願い、恋の言葉をねだり始める。最期の時が来る前に、せめて、白蓮からひとことだけでもと――愛するがゆえに「言えない」「聞きたい」狂おしいほどの二人の「祈り」は……
彼氏との真の愛の回復へ向け、十代の初恋の清算に挑むヒロイン。■高校時代に恋心を抱いた教師の船本が忘れられないヒロイン美沙子。同じ大学に通い半同棲している彼氏の鳴海大悟ともすれ違いが多い。卒業後の進路を尋ねると大学院に行くかもしれないと、二人の卒業後のことを具体的に考えていない大悟の答えに美沙子は激しく反発する。お互いに本当に必要としあう関係になっていないことを悟った美沙子は、半同棲を止めて、ずっとわだかまっていた舟木への思いに片を付けることを決意する。我が強くてわがままで寂しがりやのヒロインが、十代の恋から卒業し、彼氏との人生に向けて歩み出すまでの心の葛藤と彼氏との関係を、コミカルに、ときにシリアスに描いたラブストーリー。
『春の小川』の失われた歌詞を巡る、渋谷の巫女たちの都市伝説的ロマン。■「え、私の身体の中に何が入ってくるの?」渋谷のヒカリエに勤める知的美女の美姫は、渋谷駅の大改造計画が進む中で、かつて渋谷駅前を流れていた穏田川の神に憑衣され、川の魂と記憶を守る巫女となる。そこへ『春の小川』と同じ名前のハル・オガワ・ルートヴィッヒという日系ドイツ人の少女が現れたことで、穏田川ほか渋谷の川と坂の神々が、失われた春の小川を巡ってざわめき立つ。川と坂の神々の4人の巫女とともに、渋谷の歴史と記憶を守る使命を授かった美姫、現場に立ち会うことになったハル。巫女を守る守護士と巫女たちとの男女模様、新たな守護士との仄かな恋。現在進行中の渋谷駅再開発計画を舞台にした異色の都市伝説的ロマン。
仮面パーティとカジノとベッドで対決する女スパイの濃厚アクション■失業中の女スパイ服部千代は、スキャンダル情報を掴み、一発逆転を狙ってパリに飛ぶ。仮面パーティに潜入するが、バレてしまい、アブナイ拷問に。なんとか脱出してスキャンダルの証拠も掴んだ千代は、逆にスパイたちから追われる身に。EU本部、モナコのカジノ、そしてベネチアの仮面カーニバル、さらにはベッドを舞台に繰り広げられるスパイ合戦の中で、スキャンダルから暗殺計画が露見して大混乱に。暗殺計画は阻止されるのか? 千代とイギリスのイケメンスパイ・ジェームズとの最終ベッド対決の行方は? 濃厚で妄想的なドタバタアクションラブファンタジー。
ぼくを拾ってくれてありがとう。あなたは、ぼくの天使です!◆幼なじみへの告白を邪魔したのは、落ちこぼれの天使だった――!?「人を好きになるって、どんな気持ちですか?教えてください。ぼく、そういうのわからないから……」ひょんなことから天使と名乗るミハルに片想いの成就を手伝ってもらうことになった七美。想いを込めて綴ったラブレターはぐしゃぐしゃ、おまけにミハルは愛を知らないという致命的な問題を抱えていた。当然告白は上手くいかないどころか、そのチャンスさえミハルに台無しにされてしまう始末。愛を知らないままでは、やがて消えてしまう運命のミハル。この恋が最後のチャンスだと知った七美は、どうにかしてミハルに愛を教えられないかと考えるようになり……?爽やかな風が駆け抜ける、初恋ストーリー!
どれほど穢されても、愛しているのはあなただけ──■神族は最初に交わった者以外と体を重ねると内側から腐っていくという種族。ポリネシスはガーディアンと呼ばれる守護戦士の筆頭であるセルーニアを深く想っている。互いに言葉で愛を確認したことはないものの、互いを想っていることを確信しているし、なにより信じている。周知の仲であり公然の関係でもある。誰もがガーディアンを辞せば結婚するものだと思っていた。ところが、そんな二人の仲を裂く男が現れた。天界を治める天帝が力でポリネシスを奪おうと動く。従わなければセルーニアが窮地に立つ──ポリネシスは悔しさに身を焼きながら天帝の后になる決意をし、その身を受け入れるのだが。
ロックバンドのグルーピーを一躍ロックの女王にした愛の奥義!■追っかけをしていたロックバンドのヴォーカルのヒデとエッチした琉那。ところがエクスタシーに達しない。なぜ気持ちいいのにいけないの?その後、琉那自身が芸能界デビューを果たすが、アイドルの枕営業を目撃したり、スキャンダルにおそわれたり。逃避行先の米国ニューオーリンズでは怪しいブードゥー魔術師からロックの真実と濃厚な性愛の手ほどきを受ける。そして凱旋帰国した琉那を待っていたのは?炸裂するロックサウンドが彩る栄光と挫折、ローリングする官能をダイナミックに描く異色のセクシャル・ミュージック・ロマン。
究極の手料理と私、どうぞ美味しく召しあがれ!■大事な時に発熱するという体力不足から、茶道の家元の跡継ぎ候補を外された翠は、義兄の誘いに乗って東北の大学へ通っていた。そのキャンパスで出会った医学部生の豪介。端正な顔立ちで武士のように凛々しいが、武骨で潔癖で付き合い辛いという噂の彼に一目ぼれをする。義兄の応援のもと、翠は得意の手料理で、豪介を落とそうと一念発起。しかし豪介は、なんと三大欲を失っていた。そんな彼を助けるための手料理と、そして自分自身も美味しくいただいてもらうために、翠は究極のレシピで攻めていく!
七海の梟雄と生娘くのいちが綴る蜜夜の官能浪漫譚■「七海王を籠絡せよ!」幕府の大老は意外な言葉で紅瞳の麗人を困惑させた……一騎当千の御庭番に与えられた任務は水運の梟雄・友部宗房の暗殺計画。手練手管は苦手だけど仕留めてしまえば同じこと!貿易商・宗房が統べる自治都市で、千鶴はめいどどれすを纏ってぱーてぃに潜入し生まれて初めて異国の華やかな文化に触れる。芳しい牡丹、泡立つしゃんぱん、そして漆黒の外套を翻した堂々たる風格の七海王……だが苦無で宗房を貫こうとした千鶴の手は宗房に捉えられていた。「さあ、幕府の名も無き雌犬よ、脚を開いて皆様におぬしの秘所をご披露するのだ」捕縛された千鶴はあくまで任務遂行のため、宗房の命ずるまま羞恥と快楽の宴にいざなわれ──
采配は藍に揺れて
麗人軍師と褐色の猛将が駆け抜ける戦国蜜愛軍記■「まさか!この軍師……女だったのか……?」颯爽と軍勢を指揮する男装の軍師・藍──そして、采配の期待通りに戦場を疾駆する褐色の猛将・琥珀。幼馴染みの二人が織りなす絶妙のコンビネーションは、或る日、一瞬の空隙で崩れ去った。軍師の甲冑が大きく破損され、真っ白な肌が露わになったその時から──。長い刻、胸の底に秘めていた恋慕を、二人はもう隠しきれない。お互いを異性として意識し始め、蜜愛の願いが募るほどにすれ違う切ない想い……大切だからこそ傷付け合う二人の元へ、無情にも大軍襲来の報が届く。狙いは美貌の女性軍師!?たとえどんな窮地でも彼女の全てを護りたい──猛将の激しさと情熱は藍の心と身体を蕩かせて……。
神様に乱されそうな私が、街を救い、恋人を奮い立たせる!?■「ああ、神様に?」不思議な霊感をもったヒロイン麻理子は、藤の花に触れて気を失うと神の世界に。そこで何と白装束の男たちへの奉仕を強いられたり、もっと……なことをされたり!しかし、それが街の未来への安寧になるという、伝説の巫女の運命を担ってしまう。いくら相手が神とはいえ…。恋人への背信の思い、街の未来を託そうとする神主への複雑な思いのなかで揺れ動くヒロインの心。インフラ等の復旧を一段落したが、真の震災からの復興を目指す街を舞台に、心に傷を負ったヒーローと、彼を立ち直らせたいと励むヒロイン、そして巫女としての大きな役割に期待を寄せる人々が織りなすファンタジックなラブロマンス。
愛の狩人
風俗遊びの求道者に誘われる、一期一会の異界への旅■「エッー!私が風俗の取材を!?」離婚で傷心の女性編集者の遊子は、大物小説家から風俗をテーマにした新作の準備取材を託される。吉原、鴬谷等の色町を舞台に調査や取材を進めていくうちに、風俗の背後のある思いもよらなかった奥深い世界に惹かれ、色道を極めようとするストイックな風俗熟達者矢水に心を寄せていく。青山に住むヒロインが、下町のグルメスポットで取材を重ねながら、食と色と異界と男女の逢瀬の世界の中に新しい生き方と愛のかたちを発見していく、異色の都市ロマンス。