書肆喫茶mori店主
1年以上前
テロ事件で同僚を喪った作者が、そのトラウマを癒やしていく道程の物語。
シャルリエブド襲撃事件。日本人には馴染みが少ないかもしれないが、2015年パリで風刺新聞社シャルリエブドをイスラム過激派のテロリストが襲撃し、10人以上の死者が出た。
偶然にも危ういところで難を逃れた作者は、拭い去れない心の傷を負う。なぜこのようなことがおきたのか、事件で亡くなった同僚たちと心の中で対話する。そして芸術や文学に沈潜していく。
作者の文学、芸術に対する造詣の深さは目を見張るものがある。
絵柄はとてもコミカルだが、たまにあらわれる水彩画の色合いがとても心に沁み、事件後のトラウマにもがく作者の姿がにじみ出ているようにすら思える。