兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
※このマンガを読んだ瞬間にカレー食べたいゲージが120%になるのでご注意ください 皆さんカレーは好きですか? 私も多分に漏れず大好きです。それなりに名店と言われるお店を食べ歩きましたし、今でも週に一度はお店でインドカレーを食べます。巨大なナンのおかわりを執拗に勧めてきて、応じたらとても嬉しそうにして、断ったらちょっと悲しい瞳になるインド人の店員さんが愛おしいです。そんな私から見ても、このマンガの作者さんのカレー愛は素晴らしいなと感じられました。 地方から東京にやってきた春から大学1年生の黒部ちなが、西葛西にある加来井女子大学の寮に入寮する前にたまたま同級生と出逢い、新宿中村屋でカレーもといカリーランチをするところから物語は始まります。 西葛西といえば、実写版の『翔んで埼玉』でも、GACKT様演じる麗の東京の空気テイスティングで 「ツーンと鼻につくスパイシーな臭い。まるで異国の地。インドの香り。あと……ほんのりと潮風の臭いがする。これは、東京で最もインド人が多く住み、なおかつ海が近い場所………西葛西」 と言われたカレー文化において最強の町。 その寮生たちとボルツ、カルカッタ、たいめいけんといった名店からCoCo壱番屋まで実在の名店を楽しく食べ歩く姿、更にはレトルトカレーの奥深い世界までもが描かれます。 ボルツの30辛を食べて「食べるサウナ」ラッシーを飲んで「整った」という表現は秀逸。 ココイチで4人の女子大生がそれぞれのこだわりトッピングでカレーを食べる姿の何と良きことか。「実はナンはインドでは少しお高めの料理で、日本に来て初めて食べたというインド人も多い」といったカレーにまつわる知識も豊富に知ることができます。 今後、神保町や日比谷の某店なども登場するかな? と楽しみです。 お店としては東京中心ではあるものの、レトルト回では関西の名店のものも登場します。 各回の幕間に筆者のカレー愛溢れるコラムもあるのですが、何より素晴らしいと思ったのが「CoCo壱の福神漬けが大好きだけど、それを描きすぎるとカレーマンガではなく福神漬けマンガになるので自重した」というところ。好きなものだけど、いや好きなものだからこそ、丁寧に伝えていきたいという姿勢がとても良いです。 ああ、今日はカレーを食べよう……。
さいろく
さいろく
1年以上前
娘は14年間行方不明、更にガンで妻を亡くし、自身も全く同じガンを宣告され生きる希望を見失ってしまった一人の男。 会社においては専務まで上り詰め、立派な家と家族を作ったものの、自分の人生に何の意味も感じられなくなってしまった彼は、悔やむことばかりだと自身の人生を自ら終わらせようとしたその時、一本の電話が入る。 どうせ部下だろう、今日は休むと伝えたのに。 死のうとしてるんだ、ほっといてくれ、と思っていたら留守電に切り替わる。 留守電に録音されたその声の主は警察で、14年前に行方不明となった娘が遺体で発見されたと言う。 確認に付き合うももちろん白骨化している娘に面影などない。 だが彼はその時に刑事から受けた説明から「時効」のリミットが約半年であること。そしてその後医者から余命半年であると告げられ、自身の残ったリミットを生存し続ける意味をそこに見出す。 あらすじまでしか語らないけど本作は読み返すとさすがのコンビだなと感じるところが随所に詰まっている。 ガンへの恐怖に怯える描写や娘に何もしてやれなかったと振り返る描写が冒頭にあるが、そこだけでも福本伸行の物語をかわぐちかいじが描いているんだといちいち頷きながら読んでしまうぐらいに。 二人の名匠が描くサスペンスドラマ、非常に面白いです。
野愛
野愛
1年以上前
リアリティーがあるけどファンタジックでキュンキュンできてお洒落だけどお洒落すぎなくて恥ずかしくならなくて負担にもならない漫画が読みたい! お仕事漫画も恋愛漫画も飯漫画も好きだけどどれも中途半端じゃないのに重たくなくてでもちゃんとおもしろい漫画が読みたい! という我儘に全部答えてくれる作品がこちらです。 寝食を犠牲にしてまで研究に没頭しちゃう十和博士と、毎週水曜日はそんな博士の世話を焼くのがお仕事な岸田くんとの美味しくてキュンキュンしちゃって適度に現実逃避できるのがこの漫画。 天才肌で変わり者だけど無邪気でかわいい十和博士と、料理が得意で世話焼きでよく見たらちゃんとかっこいい岸田くんという漫画ならではの夢のような組み合わせなのに、なんでかしっかり感情移入しちゃうんです。 最初は岸田くんのごはんと博士のVRでロケーションも最高でいいコンビだな〜くらいにしか思ってなかったのに、2人の距離が近づくにつれてこちらも楽しくなってしまいました。見所が多いと疲れちゃうのに、この漫画は味つけがちょうどよいのですよ。スパイスとかハーブは効いてるのに塩分は強すぎない感じなんですよ。食べすぎちゃってももたれない感じなんですよ。 などと特にうまくもないことを言ってしまいましたが、十和先生と岸田くんのかわいくて美味しい距離感に存分にキュンキュンしてみてほしいです。