ゲスのポリス

ゲスでベタだがベタベタではない

ゲスのポリス 須崎洋輔
名無し

タイトルを見ただけで 「ああ下衆極まりないようで実は人情深い警官が  色々な問題を解決する話なんだろうな」 と想像した。 それは殆どは当たっていたと思う。 だが想像が外れた部分もあって、それが良かった。 予想に近いベタな設定だったが、 違う意味でベタではない部分があった。 ベタ(ありきたり)な設定だったが ベタべタした薄甘いストーリーではなかった。 それが良かった。 警官なのにそんなことしていいの、という漫画には 「こちら葛飾区亀有公園前派出所」という 先駆者にして大御所が存在する。 先駆者なので当然、当時にその設定は斬新だった。 そのうえ「こち亀」は下町人情話的な温かい部分もあった。 「こち亀」の両さんはオ下劣な面を出すこともあったが、 時に人間くさい面もだし、人情味を醸し出していた。 そして「こち亀」が40年の連載を経た今では そういう設定の漫画はベタな設定ということになるだろう。 「ゲスのポリス」の主人公・八王子は題名通りに ゲス(品性が下劣)だ。 それでいて実は思慮も人情も深そうなところは 垣間見せる。 このへんは「こち亀」と共通する部分があると思う。 だが、八王子は基本的にはゲスであることを貫く。 ゲスであり続けるので人間関係は湿っぽくはならない。 だから問題が解決してハッピーエンドになっても ハートウオーミング過ぎて湿っぽくなりすぎることはない。 ゲスなままでやりぬくから。 なのでストーリーの途中やラストなどで人情味を 感じる部分は結構あるが、全体的には 殆どベタベタしたイメージを感じることがない。 むしろゲスだからこそ爽やかだとも感じた。 第一巻の後半なんかは、それこそ 「踊る大走査線」の青島と室井の話か、というような ストーリーが出てくる。 良く言えばオマージュされた、 悪く言えば焼きなおした、みたいな話。 青島や室井ほどの熱さは感じないが、 ゲスな面が混じると、暑苦しく感じることがない。 その方が良い、とまでは思わないが、 こういうのも良い、とは思った。 ゲスな部分が適度に爽やかさを演出する漫画だと感じた。