子供が欲しくて、でもいらない

小梨vs子ありの会社内の摩擦と、夫の「妊活」への拒否感

子供が欲しくて、でもいらない とさとし
天沢聖司
天沢聖司

「妊活」をメインテーマに、会社での子持ち・子無しさまざまな社員らとの摩擦、劣悪な家庭環境にあった夫と”平凡”な幸せな家庭に育った妻とのすれ違いが描かれます。 【登場人物】 ・主人公…平凡な幸せな家庭に育った子無し女性 ・彼氏…無邪気で優しい性格。現在も奔放な母親に「あんたなんて産まなきゃ良かったと今でも思ってるけど、孫が出来たらかわるかも」と暴言を吐かれ、精神的に中出しができなくなる。 ・子育て中 リモート勤務女性社員 ・独身 ベテラン女性社員 ・妊娠中 女性社員 ・若手 男性社員 それぞれの立場から言う愚痴は、Twitterの一番汚っったねえ部分を掬ってきたかのような切れ味で不快感たっぷり!読むほどにイライラしてきます。もちろん救いとなるような言葉もあるのでお楽しみに。 ただ主人公が幸せな家庭育ちで想像力すらなく、なーーーんにも彼氏のことを理解しようとしたり寄り添おうとしてないところが一番ムカつく。別に幸せな家庭に育ったことは悪でもなんでもないけど、想像力がないとこは悪だと思う。実際それで彼氏傷つけてるし。 このカップルのすれ違いと亀裂がどこまで広がるのか目が離せません。

葬儀屋タケコ~あなたの最期、叶えます【電子単行本版】

今の時代にあったテーマ

葬儀屋タケコ~あなたの最期、叶えます【電子単行本版】 高山繭
六文銭
六文銭

主人公は色々あって、祖父母が経営していた仏具屋を受け継ぎ、代わりに「葬儀屋」を始める展開。 「葬儀屋」というあまり馴染みがない分野の経営方法は興味深く、また葬式を通したヒューマンドラマ的な側面もあるのが自分好みでした。 また、題材としても非常に今っぽいなと思いました。 人生100年時代。 長く生きられて健康なうちに死に方を選べるって人によっては重要だし、今後時代的にも生前葬とかその手の話題がでてきそうな予感なんです。 というのも、自分も年を重ねるごとに身内の死を経験することが多くなってきたのですが、ただ「死ぬ」だけで残された人に、結構、不便というか・迷惑がかかるんですよね。(甚だ不謹慎で恐縮なのですが) 本作にも描かれているように、相続やらお布施の仕方やら、細々ながらも決断をしなければならないことって結構負荷だなと。 死んでしまえば、後は知らん! 的な発想ができる豪快な人ならまだしも、自分みたいな小心者は突然死でもない限り 死んだ後くらい、迷惑はかけたくない と思ってしまうので、予め色々やっといたほうがいいなと。 自分だけでなく、世代間格差で苦労してきた世代は、今後そういう考えの人が多くなるんじゃないかなぁと考えます。 下の代に迷惑をかけたくない的な。 一方で、そんなネガティブな側面だけでなく、思い出を残すという意味で予め準備しておくというのも重要だと思います。 本作の主人公も葬式を企画するプランナーとして、訪問客に対して色々提案する感じなのですが、その中で家族間のトラブルなども当然出てくるわけで、主人公のちょっとしたおせっかいや思いやりが重要になってきます。 こうやって第3者が介入して長年のわだかまりが好転し、死を間際にして後悔が減っていく感じが読んでいて心地いいです。 人に歴史ありとはよく言ったもので、その最後が少しでもハッピーエンドになるように尽力する主人公は応援したくなります。 心温まるヒューマンドラマな1冊で、今後も続いてほしいと強く願います!

葬儀屋タケコ~あなたの最期、叶えます【電子単行本版】

理想の葬儀を叶えてもらえるとしたら #1巻応援

葬儀屋タケコ~あなたの最期、叶えます【電子単行本版】 高山繭
兎来栄寿
兎来栄寿

あなたは、自分の葬儀をどのように執り行って欲しいですか? 私はとりあえず吉野山に灰を撒いてもらえればそれ以上望むことはないのですが、高校生の時はMALICE MIZERの「虚無の中での遊戯」を葬式のBGMにして欲しいな〜などと思っていました。 35歳の主人公の健子は、結婚を考えていた恋人が実は妻帯者で、別れた後に自分も妊娠していたことを流産した後に知り、敗血症になり3週間入院して、会社を辞めて実家に帰るという過酷なスタート。 再会した幼馴染から仏具屋さんが葬儀屋さんになることも結構ある、特別な資格の取得なども必要なく本人のやる気次第という話を聞いて「ご本人様プロデュース葬」を行う葬儀屋を開業する準備を進めていきます。 葬儀とはいっても、死後のことばかりではなく生前葬という選択肢もあり、しかも多様化の現代にあってはもし望むならいろいろな形が可能になるのだなと考えさせられました。 恋愛関係に発展することを匂わせる良いメンターや、 「商売はアイディアとご縁!」 と、勇気づけてくれる顧客との出逢いもあり、周囲の温かい協力も得ながら少しずつ社会復帰を進めて行く様が良いです。誰かに喜んでもらえる仕事ができることで、自分自身も再び笑顔になることができる。人の世の素敵なサイクルに、読んでいるこちらも温かい気持ちになります。 しかし、葬儀に際しては人間の醜い部分を見ざるを得ないこともあり一筋縄では行かないだろうなということも強く感じさせます。時には失敗もしながら、それでも失敗した時こそチャンスでもあるということもエピソードで描いていきます。 男性ふたりと三角関係になる部分も見所のひとつでありつつ、少し変わっていながら誰にとってもいつか関わる仕事マンガとしても、一度大きな挫折をしてしまった人が人生を立て直す普遍的に誰かを勇気付けられる物語としても味わえる作品です。