東京宵待シンデレラ
女性向け風俗にまつわる群像劇 #1巻応援
東京宵待シンデレラ 東ねね
兎来栄寿
兎来栄寿
ドラマ化もされ大人気を博しながら先日最終話を迎えた『明日、私は誰かのカノジョ』ですが、いわばNEXT『明日カノ』となりそうな風格を感じる作品がこちらです。 女性向け風俗をメインテーマとした群像劇で、最初は小説家の女性・晴海の物語から始まります。中学時代の経験から恋愛に向いてないことを自覚しその時に死んだと思っていた感情が、女性向け風俗を利用することで想像もできなかったほど劇的に蘇っていくさまが描かれていきます。 サブタイトルが「アポトーシス」ですが、晴海の父親が元化学教師であるというところから夜職のマンガでしっかりとネクローシスとアポトーシスが語られるのは面白いです。そうした育ってきた家庭環境を含め登場人物それぞれにあるバックボーンが詳らかに語られていくことで、現実にもありふれていると感じるようなエピソードでも独自の色が生まれて深く入っていけます。 また、晴海を担当するセラピストのアキトはその次の章ではまた別の立ち位置で違う側面を見せてくれます。仕事では誰かの支えになりながら、プライベートでは自分も他の誰かに支えられて生きている。この群像劇ならではのそれぞれのキャラクターの多面性を見せてくれる構成が、夜職などの華やかな面と現実の対照性とも非常にマッチしていて面白みを感じさせてくれる部分でもあります。さまざまな利用者やセラピストを始めその周囲の人物たちを通してそれぞれの物語を見せてくれます。 人間はつくづく幻想に生きているし、それでも幻想によって生きられるのならそれでいいと思います。ただ、幻想を追い求めすぎて幻想を見せてくれる現実の人間に縋り過ぎるようになってしまうと破滅の足音が忍び寄ります。それでも追い求めてしまうのが人間というものですが。強く共感できる部分もあり、共感はできないけど理解はできるという部分もあり。 近年は女性向け風俗がマンガで扱われることも急増してきたと感じますが、この『東京宵街シンデレラ』は最大手の「東京秘密基地」への取材も行いながら丁寧に描かれていることもあってリアリティがあります。 あとがきマンガにその取材の様子も描かれていますが、そこの元オーナーさんの浮世離れしたコメントの数々だけでも面白いです。 東ねねさんの絵もアシスタントの方が描く背景も非常に美しくヴィジュアル的にも人気を得やすいと思いますし、今後実写化などしてブレイクしていくことが大いに期待される作品です。
氷の城壁【タテヨミ】
氷が少しずつ溶かされていく
氷の城壁【タテヨミ】 阿賀沢紅茶
Nano
Nano
「正反対な君と僕」の阿賀沢紅茶先生の別作品とのことで、前々からタイトルは目にしてたけど読んでみたらめちゃくちゃいい…まだ序盤の序盤までしか読めてないけどこゆん…!!みき…!!ヨータ…!!みなとぉ…!!ってなってしまう(伝わって欲しい) マンガMeeで読んでいて、少女漫画かな?と思って読み始めたので、冒頭部分で「氷のように人に冷たく接してしまう主人公、だけど本当は…」みたいな甘々な恋愛漫画かと思ったんだけど想像をはるかに超える良さがあった…恋愛だけでなく友情がもうさ…あ~~~!!高校生、青春、いいね…はぁ…。 作中で「高校生ってまだ学校ていう狭い世界でしか生きていない」みたいな話をするんだけどまさにそうなんだよね…本人たちには分からないんだけど本当にそう思う。学校が全てだから学校で嫌なことあるとすごくつらい。学校って楽しいけどそれだけでは絶対ないし、家庭的な事情も一人ではどうにかできなかったり、みんなそれぞれ息苦しさを感じてるんだよなと読んでて共感したし胸がぎゅっとなった。 すごくゆっくり読み進めているけど、こゆん達4人が成長する様を最後まで見届けたいと思います。