PTAではいじめられパート先では店長にセクハラ、家に帰れば子供の世話。そしてなにより最悪なのはちょくちょく尋ねてくる嫌味ったらしい義母。すっかり日常に疲れ果てていた涼花の心の支えは息子の保育園時代の先生、貴裕だった。そして貴裕先生と親密度が増すのに比例するかのように、涼花の周りのトラブルが次々と解決されていく。すべてが明らかになるとき、あなたはきっと涙する!
立花香莉の勤め先「グループホームともしび」に新人介護士としてやってきた梶木侑。その端正な顔立ちと飾り気のない人となりで、彼はすぐに職場に打ち解けていった。しかし、香莉は梶木を見た瞬間、おぞましさを感じていた。六年前、自分をレ○プした男とよく似ていたからだ。あの爽やかな仮面の下には悪魔の素顔があるのだろうか。いや、そんな偶然があるはずがない。あのときの犯人が同じ職場にくるなんて。そう思いながら接しているうちに、香莉は梶木にほのかな好意を抱くようになるが……。
結婚六年目を迎えた夫婦。妻の梨花は子供を欲している夫と週末に義務のような夜の営みをする日々を送っていたが、関係がすでに冷えきっているせいか上手くいかず、夫に酷い悪態をつかれたりもしていた。そんな中久しぶりに夫の同僚である十条と三人で飲む事になるが、会話途中で梨花の発言にキレた夫は二人をおいて店を出てしまう。夫の態度に辟易した梨花が十条に夫婦生活の愚痴をこぼしたことをきっかけに始まる禁断の関係。彼の優しさに触れ心奪われ胸を焦がし、愛の結晶が育まれたその時、この出会いの真実が明かされる…。
昔から顔のせいでイジメを受けてきた愛美。盲目の資産家の援助で顔も名前も別人となり、カフェ店員として第2の人生を歩みはじめていた。顔は美しくなったが、なぜか気持ちは浮かない…そこへ現れた中学時代のイジメ女子グループ。動揺する愛美をよそに、彼女たちの一人が口にしたのは愛美の死亡説。話題はすぐに婚活の話に逸れ、そいつはこう言った。「たった一度の人生だもん幸せになりたい」その瞬間、愛美の脳裏にイジメの記憶が鮮明に蘇る。人の人生を散々踏みにじってきて、幸せになりたい…? あいつらに私が歩むはずだった〈醜い人生〉歩んでもらうわ──
住みやすい周辺の環境、広くてきれいな部屋、そしてなにより破格の家賃……。しかしそのマンションには秘密があった。謎の人物より「子作りのためのカップルの適正化を行います。お互いのパートナーを交換しちゃいましょう!」と伝えられた住人たち。マンションの契約事項にはぼやかすようにだが、政府、行政に協力する義務ありという項目がある。しかも罰則まで….。他の人とセックスするなんてありえない、と思いながらも、皆この異様で予測不能の「ゲーム」に次第に翻弄されていく!!
同じマンション内で夫婦交換による集団種付け、などという、かなりあり得ないというか、うらやましいというか、斬新なテーマを扱った作品です。リアルでは到底真似できない不倫ゲームなので、誰しもが始めは自分の夫婦が1番、どこまでも信頼しあってると思うのですが、人間の性の本能ってものがあるなと。 そしてそこに、少子高齢化とか、特殊法とか、国家プロジェクトとか、お堅い文言と現実的な文言が加わることによって、話全体に何とも言えない緊張感みたいなものが張り詰めドキドキハラハラしながら読めます。何事も、ギャップ(緊張と緩和)が大切であり、この作品はそれをよくわかっているなと感じました。