鉄鍋のジャン

勝つための料理を追求した男ジャン

鉄鍋のジャン 西条真二 おやまけいこ
六文銭
六文銭

もう28年前?の漫画のようですが、めっちゃ面白かった。 タイトルに記載したとおり、当時のグルメ漫画って『美味しんぼ』や『中華一番!』など、より美味しいものを競ったりや食べる相手を満足させるための要素が強かったと思うのですが、本作はそれらとは一線を画す。 中華料理界において偉大だった祖父の教えを叩き込まれ、とにかく料理とは勝負で、彼が追求するのは勝つための料理。 美味しいとかではなく、勝つためなら何でもするということ。 ここが他の料理漫画とは違う。 最初のうちこそ、祖父のライバルだった男の店「五番町飯店」へ修行にいき、祖父から仕込まれた料理の腕を発揮して、他の料理人を圧倒したり、時に挫折したり、といったオーソドックスな少年漫画的な展開なのですが・・・・ 1巻からすでに、マジックマッシュルームを使って審査員を撹乱させるようなこともはじめていきます。 他にも上げればキリがないのですが、特に最高なのが、若手料理人選手権大会の予選課題「チャーハン」の回の時。 火力がほしいからとガス管潰して自分のところに集中させたり、あげくスプリンクラーをまわして他の料理人のチャーハンを水浸しにするんです。(自分はラップまいて、さっさとその場から逃げる) 基本的に上記であげた料理漫画で出てきたら 「絶対悪役だったろ!」 と言わんばかりの悪行がでてきます・ 料理マンガのダークヒーロー的な存在。 顔つきもドンドン悪くなっていく(気がする) 料理=幸福を与えるもの というのが、ある意味定説になっていただけに、勝つためなら何でもする、主人公の潔さが斬新な作品でした。

飯を喰らひて華と告ぐ

グルメ漫画と思いきや秀逸なギャグ漫画

飯を喰らひて華と告ぐ 足立和平
六文銭
六文銭

一風変わったグルメ漫画。 仕事とか私生活とかで悩んだ客相手に、料理を提供しそれっぽい格言を出して元気づける人情系な風味もある。 だけど、この「それっぽ格言」といのがクセもので、主人公のいう言葉、実際には存在しないんです。 本作読んだ人は100%だまされたと思うのですが、さもそれっぽい、実際にありそうと思わせられるのですが、全部創作です。 ググってもでてきません。 そして極めつけは、主人公の勘違い。 客の悩みを明後日の方向に解釈して、見当違いも甚だしい回答を上記の格言とともに言う。 アンジャッシュみたいな絶妙なズレを提供してくれ、これが見事に面白い。 客も、主人公が延々と喋っているので、黙って聞きながら心の声でツッコんでいるのもまた良い。 読者の声、そのものという感じでシンクロします。 画力も高く、どの料理も美味しそうなのが、また悔しいくらい面白さを誘います。 この絵でギャグをやるってのが謎すぎて一周回っていとをかしです。 グルメ漫画だけでなく、ギャグとしてもクオリティ高いし、ちょっといいことも言っているので、疲れた大人向きな作品だと思います。