動物園マンガの感想・レビュー6件谷口ジロー先生の自伝風漫画家マンガ冬の動物園 谷口ジローかしこタイトルの「冬の動物園」から冬の時期に読むのにぴったりな短編集をイメージしていたところ、まさかの漫画家マンガでした。しかも谷口ジロー先生ご自身の自伝風というそれはそれですごく興味がそそられる内容でとても面白かったです。 主人公は高校を卒業してから京都にある小さな織物問屋に就職しますが、着物の図案がやりたかったのに希望の仕事が出来ないこともあり、友人の紹介で上京し漫画家のアシスタントを始めます。冬の動物園が出てくるのが1話目の京都時代だけなので、もしかしたら最初は読切のつもりだったのかもしれません。2話目から漫画家マンガになっていきますが、大人しい性格の主人公なのでまんが道のような若き漫画家青年の苦悩というより、その時代の空気感が描かれているといった方がいいかもしれません。 しかし病気の少女と出会って彼女の為にデビュー作を描き上げようとするところから熱い展開になっていきます。普通ならベタすぎるシュチュエーションですが谷口ジロー先生の作品には誠実さがあるので感動せずにはいられません。学ぶ機会を貰えた作品ZOOKEEPER 青木幸子ナベテツ実家にいた頃から動物を飼ったことがなく、生態に対して疎い人間なのですが、この作品は勉強になりました。 主人公は特殊能力を持っていますが、決してそれに頼る訳ではなく、知恵と愛情で動物に接しています。 作中には様々な動物が登場しますが、キシリトールが動物にとって毒になる可能性があることは知りませんでした(猫に与えていけない食べ物がある、くらいしか知りませんでした)。 自分が動物を飼う日が来るかは分かりませんが、人間と異なる生態に対して意識を持つきっかけになりました。動物たちの下克上ジンメン カトウタカヒロstarstarstarstarstarウマタロ動物園の動物たちが人間を襲い出すパニックホラー。人の顔をした喋る動物って何故こんなにも怖いのか…。ただ怖いだけじゃなくて、ときどき動物側から発せられるメッセージに考えさせられるものがある。なぜ人間を襲うのか?人間たちが動物に行っていることは果たして正しいことなのか? ・・・胸に手を当てて考えてみよう。 って思う暇もないくらいスピード感ある展開続きなので、純粋に怖がりながら読むのがいいと思う。第一部完60億のシラミ 飯森広一マウナケアがーん、やってしまった。タイトルに惹かれて読みましたが、この作品は完結しておりません。正確には第一部完であります。3巻目あたりで薄々感じてましたが…。しかし、それを承知していても、この作品は途中で読むのを止めることはできないと思うのですよ。氷河期が訪れようとしている世界。自然界では多胎妊娠や先祖がえりが起こる。そして、暴動鎮圧のため特殊部隊が結成され、石油は使用を禁じられることに。そこに現れる謎の修験道者と超能力を持つ赤ん坊。これらを下手に料理するとB級パニック映画になってしまいますが、作者はその全てを消化して、正面から未来に突き進む人間の物語を描こうとしているのです。中盤までは世界観構築に重きを置いた構成。そして赤ん坊に導かれる人々を、梁山泊の108の魔星になぞらえ、本気で108人のドラマを作ろうとしている。さらに対立の構図として修験道者=キリストと12人の使徒を配置し、どちらが正義なのか最後までわからず…と、もうそそられまくり。本当に続きを教えてもらいたい。あらすじだけちょこっとでもいいです。大きなことは言いません、「60億のシラミ」の一匹としては。 旭山動物園のドキュメント風漫画ASAHIYAMA-旭山動物園物語- 本庄敬 森由民マウナケア走るキリンって生で見たことあります? 私、ここで見てビックリしたんですよね。ってことでこの作品、テレビ番組や書物で有名になりました、”北の奇跡”旭山動物園のドキュメント風漫画です。この作品、全3巻まるまる使って、廃園の危機から復興するまでを描くのかと思ってましたが、そのあたりは第1巻に集約。第2、3巻は人間と動物の関わり合いを中心にしており、フィクションを織り交ぜた展開。なので2、3巻は目新しい話ばかりで、動物の生態を解説したガイドブック的な内容も数多く含まれています。地元の人以外にとって簡単に行けるところではないですが、これを読むと行ってみたくなりますね。しかしながら私、第1巻は社会人、特にサービス業に携わる人によく読んでもらいたいとも思っています。ただ工夫しました、だけでなく、それをいかにして知ってもらうか、味方を増やすにはどうすればいいのか。現在の人気を勝ち得た努力もしっかり描かれていて、このお話に、そういう側面もあることを感じてもらえると思うのですがいかがでしょう。未完の世紀末SF60億のシラミ 飯森広一マンガトリツカレ男近未来の地球が氷河期に入り、人類が絶滅の危機に晒されている中で物語が進行する。60億のシラミとは「地球に寄生する人間」の比喩表現 内容は、大きく二つに別れていて、 ・氷河期に入った際の人類の過酷な状況 ・雇用の低迷 ・食糧難による物価の高騰や治安の悪化 ・石油が配給になるなど ・水滸伝をベースにした人物たちとキリストの12使徒の争い ちょうど面白くなりそうなあたりで、打ち切られたらしく中途半端な部分で終わってしまっているのがすげー残念。 1970年代は「デビルマン」「ザ・ムーン」「マーズ」といいこういう世紀末感が溢れる漫画が多くいいな。
タイトルの「冬の動物園」から冬の時期に読むのにぴったりな短編集をイメージしていたところ、まさかの漫画家マンガでした。しかも谷口ジロー先生ご自身の自伝風というそれはそれですごく興味がそそられる内容でとても面白かったです。 主人公は高校を卒業してから京都にある小さな織物問屋に就職しますが、着物の図案がやりたかったのに希望の仕事が出来ないこともあり、友人の紹介で上京し漫画家のアシスタントを始めます。冬の動物園が出てくるのが1話目の京都時代だけなので、もしかしたら最初は読切のつもりだったのかもしれません。2話目から漫画家マンガになっていきますが、大人しい性格の主人公なのでまんが道のような若き漫画家青年の苦悩というより、その時代の空気感が描かれているといった方がいいかもしれません。 しかし病気の少女と出会って彼女の為にデビュー作を描き上げようとするところから熱い展開になっていきます。普通ならベタすぎるシュチュエーションですが谷口ジロー先生の作品には誠実さがあるので感動せずにはいられません。