夜啼きのしゃれこうべ
ある村にそびえたつ豪邸・篠小路邸。そこには6年前に死亡した心臓外科の権威・直人氏の夫人・瞳子が住んでいた。美しいルックスと妖艶な雰囲気で次々に男を連れ込んでいる。夜中になると、奇妙な声が聞こえるという。そこに訪れたのは、エロス作家・宇野桂。桂は、瞳子に連れ込まれた自身の兄・章の行方を追っていた。核心に迫るために、篠小路邸に入り込むことに成功した桂はそこで衝撃の事実を知ることとなる!!
賽の河原のクレオパトラ
内科医・上嶋沙登子は幼いころから妹の美也子よりも学業に優れていたため、美也子に憎まれていると思っていた。そのことから自身の恋人である作家・関口丈二を美也子に略奪されたことも仕方のないことだと自信を喪失していた。ある日エジプトにクレオパトラについて取材に行っていた妹夫婦の不幸なニュースを耳にした。丈二が変死したのだ。美也子も丈二と同じような症状を発症していた。しかし、お腹には丈二との子供を授かっているため帰国して出産することとなった。丈二と美也子にエジプトで何が起こったのか……!? 久々に会う美也子の口から告げられる衝撃の真相とは!?
そして鬼はいなくなった
有名老舗料亭「ちとせ」、その息子である光留(ひかる)は仕事を継がす外資系コンピューター会社に勤めていた。光が結婚に選んだ女性は取引先の受付嬢だった美野。しかし、光留の現在の仕事は、妻に料亭を継がせるという条件を付けられ許可されたものだった!! そんなことも知らずにあいさつに行った美野は、そこで光留の母に厳しい言葉をかけられてしまう。そんな険悪で不気味な人間関係が紡ぎだす衝撃の嫁姑トラブル!! この家族、老舗料亭の未来はいかに!?
愛しのわが子は誰のもの
妊娠しないことで姑からいびられ続けていた夕子。不妊治療を続けていたある日、自身が妊娠できない身体だと知ってしまう。夫はそれを知っても愛想を尽かす事無く、アメリカでの体外受精を進めてくる。無事に体外受精は成功し、双子が生まれてくるのだが……。家庭の様々な問題を描いた短編集。