あらすじ

映画『露命』への出演を経て、役者としての自我が芽生えた多家良(たから)。友仁(ゆうじん)との関係にも変化の兆しがみえ始め、舞台『三人姉妹』の稽古場には今までとは違った緊張感が漂っていた。 そして、CMへの出演をきっかけに、多家良はスターダムに押し上げられていくーーー。
ダブル 1巻
鴨島友仁(かもしまゆうじん)と宝田多家良(たからだたから)は同じ劇団に所属している俳優仲間。安アパートに隣同士で住み、共同生活をしている。お互い無名ではあるものの、友仁は多家良の類まれな演技力を見抜き、その才能を世に知らしめるために彼を支えている。自身も「世界一の役者になりたい」という想いを抱えながら。やがて周囲は少しずつ、多家良の才能を見出していくが―――。
ダブル 2巻
友仁(ゆうじん)の協力もあり、知名度を少しずつ上げていく多家良(たから)。そんな折、有名監督・黒津壮市の新作映画のオーディションの話が舞い込む。多家良と友仁は一緒にオーディションを受けることになるが―――。
ダブル 3巻
映画『露命』への出演を経て、役者としての自我が芽生えた多家良(たから)。友仁(ゆうじん)との関係にも変化の兆しがみえ始め、舞台『三人姉妹』の稽古場には今までとは違った緊張感が漂っていた。 そして、CMへの出演をきっかけに、多家良はスターダムに押し上げられていくーーー。
ダブル 4巻
休養を経て俳優業に復帰した多家良(たから)は、舞台『初級革命講座 飛龍伝』主演のオファーを受け、愛姫(あき)、九十九(つくも)と共に作品作りに臨む。穏やかに動き出した多家良の世界。しかし友仁(ゆうじん)との思わぬ再会により、ふたたび激流へと巻き込まれていく。
ダブル 5巻
舞台の本番に向けて役を深めていく多家良、愛姫、友仁。波乱含みの稽古の中で自分自身の目的を見つけ、美しく優しい思い出のためにあがき、世界一の芝居を想う。彼らの頭上を星が流れる。『初級革命講座 飛龍伝』の幕が上がる。
わたしの宇宙

わたしの宇宙

中学二年生の津乃峰アリスは、クラスメイトの星野宇宙から「自分達がいる世界はマンガで、僕が主人公である」と告白された。そう言われてみると、確かに見える「フキダシ」。常に“何者か”に“読まれている”状態での学校生活…アリスのプライベートも、心の中も、すべて丸見えに?そしてその先にある「真相」とは?
いかづち遠く海が鳴る

いかづち遠く海が鳴る

鮫島晃一(通称・こーちゃん)は冴えないおっさんである。そんな彼の前に突如現れた美女・かおちゃんは、光の早さでこーちゃんを籠絡し、ベッドイン! ここから始まるラブストーリー…と思いきや、謎の男とともにかおちゃんは姿を消してしまった。かおちゃんが暮らす場所…そこは天上界!? こーちゃんとのラブラブデイズを求めて、再び地上を目指すかおちゃん…彼女の目的は? あなたの「肉欲(?)」に着火する、新時代の超絶&超越ヒロイン、誕生!
潜熱

潜熱

コンビニでバイトしている大学生の瑠璃は、毎日必ず同じ銘柄のタバコを二つ購入する中年の男・逆瀬川のことが気になっていた。思い切って逆瀬川に声をかけた瑠璃は、同乗する車の中で、自分の心の中に未知なる熱い火が灯るのを自覚し―― ヤクザと女子大生の、危うく切実な恋物語… 第1集。
ダブル
これはいい三十路の役者漫画だ!
ダブル 野田彩子
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
これはいい! 現時点で三話まで読んだけど、これからどんどん面白くなりそう! 高橋一生みがあってめっちゃいい。 二話あたりから勝手にあの声で台詞が再生され始めてしまった。 「わたしの宇宙」 「いかづち遠く海が鳴る」 「潜熱」 の野田彩子の新連載。 https://viewer.heros-web.com/episode/10834108156642488617 いまだ無名の天才役者・宝田多家良と、同じ劇団で彼の才能を見出して絶望し彼を世界一の俳優にするべく奔走する役者仲間(友人)の鴨島友仁。 世界はまだ天才を発見していない。 が、明らかな天才の片鱗はそこかしこにばら撒かれ少しずつバレ始める。 自分より明らかに突出した才能を持つ人がいたら、その人がその才能以外の社会生活能力が欠如していたら、どうにかうまくいくよう手伝いたくなる、光の当たるところまで押し上げたくなるという気持ちは分かりたくないが、すごく分かる。 二人の関係性は光と影というよりは、光と光の影というような感じ。 相反するものではなく、二人は共生し追随していく形がしっくりくる。 人前に出て脚光を浴びるのは宝田多家良だが、ある意味で前を行き手を引くのは鴨島友仁なのだ。いや、二人にはそうであってほしい。 事務所のマネージャー冷田一恵は一見クールな反面、冷ややかに熱い情念を持っていて、それが宝田多家良に対しての感想に現れててグッとくる。 淡々としているようで宝田多家良の魅力に冷静に熱を上げている。 これはとてもいいものだ! 細部にいたるまで褒め挙げ連ねるそれはもはやファンやオタクのようだ。 おかげで宝田多家良がそれほどまでに魅力があり、世界にバレるのを待っているような説得力が生まれている。 野田彩子さんは人と人の関係性、間にある空気、感情の機微、隠した感情と表れる表情を描くのが上手だな~と思っていたのだけど、なんて言えばいいのか今作でそれがより立体的になっているような気がする。 「わたしの宇宙」「いかづち遠く海が鳴る」のような少し変わった設定のSFめいたものでもなく、「潜熱」のような限定的な関係性でもない、その一歩先の、地に足の着いた社会や影響力、人生のような部分を描いているからかもしれない。 天才と、彼を取り巻く人々、その人生。 この作品を毎月webでの更新を待つか、単行本で一気に読むか迷うけど、うーん、これは毎月チェックしてしまうかな~。 楽しみ!