あらすじタイトルの「オールラッシュ」とは、撮影後のフィルムをシナリオ通りに並べた試写のこと。少し冴えないが熱意だけはある主人公・波野が映画監督を目指して奮闘する日々をベースに映画製作の裏側と魅力を余すところなく描きます。
助監督と言えば聞こえは良いですが、その中でも三番手の雑用同然な主人公。この立場からの映画作りを描く作品って意外にないと思いますし、スクリーン裏の苦労や業界の厳しさはストレートに伝わり、読後は映画鑑賞する時の感じ方が少し変わった気がします。 展開は地味ですし、主人公のヘタレ気質はちょっと鼻につくものがあって、ついに辞めるか悩みだした時は辞めちまえよと思ってしまいましたが。 単行本の装丁デザインはこれで手に取る吸引力がありました。