新学期の席替えで、地味で陰気なクラスメイトの透と前後ろになった正樹は、友人のいない透を気の毒に思い積極的に話しかけてやっていた。しかし彼の妙に赤い唇やほっそりとした指先が目にとまるたびに総毛立つような胸のざわめきを覚え、いつしか交際中の彼女もそっちのけで透と過ごすようになってしまう。自分をおかしくする透を恐ろしく感じながらも、彼を誘うのをやめられない正樹。いつものように透を自宅に招いたある日、透から「彼女ができたことも、セックスをしたこともない」と告げられた。正樹は考えるより前に応えていた。「俺が教えてあげる―――」