あらすじ吉田聡が赤裸々にデビュー前後の己を描き切った笑劇的半自伝まんが道の決定版! 「小人閑居して不善を為す」時田サトシ、21歳に。……なったはいいが、眠るは、破るは、縋りまくるはの相も変わらず残念野郎状態。メルシー佐藤師匠に続く、まんが道の第二の道標すら見出せないままに… 刻は決して巻き戻らず、激動の1982年へ突入――! 問答無用の熱烈ドキュ“漫”タリー第4集!!
漫画家マンガというジャンルが広く描かれて久しいのですが、その描き方は十人十色であり、人柄やクリエイティブというものが色濃く反映されているところに、ファンは強く惹かれると思います。 湘南爆走族で鮮烈な連載デビューを飾った𠮷田聡先生が描いた本作では、まだ何者でもない青年のもがき苦しむ様がリアルに描かれています。 デビュー作が大ヒットし、様々な漫画家さんに影響を与え、映像化までしたという事実でもって、読者は順風満帆な漫画家生活なのだろうと思い込んでしまいがちなのですが、この作品で描かれているのは、明日の自分への不安を抱え、必死に「ヘッショナル」を目指す等身大の物語でした。 主人公の時田青年が𠮷田先生をどれだけ投影しているのかは、読者には正直分かりません。ただ、そこには「真実」というものもあるのだろうなと、中年の読者は過ぎ去った青春というものに思いを馳せます。 𠮷田先生のファンを公言している藤田和日郎先生が、本作を読んで涙を流したというツイートを以前みかけ、さにあらん、という感想を抱きました。夏の終わりに、過ぎ行く季節を感じる作品なのではないかなあと思います。