あらすじ

安政三年七月、通商使節としてアメリカから下田に、ハリスと、かれの通訳のヒュースケンがやってきた。日本との交渉が難航し、過労で倒れたハリスは、ヒュースケンの愛人のお吉を、専属の看護婦として雇おうとする!!
陽だまりの樹(1)
蘭学医・手塚良仙の息子の良庵と、府中藩士の伊武谷万二郎は、美女・おせきをめぐって犬猿の仲。そんな最中、良庵は適塾で蘭学を学ぶため、大坂へ旅立つ。幕末に実在した著者の曽祖父をモデルにする長編歴史作品・第一弾。
陽だまりの樹(2)
安政二年、伊武谷万二郎は、江戸を襲った大地震で、民衆を安全な場所へ誘導するという手柄を立てる。一方、手塚良仙は、奥医師達の激しい妨害の中、娘婿の大槻俊斎らと共に、種痘所の江戸設立に向け、頑張っていた!!
陽だまりの樹(3)
蜷屋の大旦那・膳右エ門が、痘そうにかかっていることが発覚した。緒方洪庵の命により、手塚良庵は、膳右エ門の養女・お品を始め、店の者全員に種痘を受けさせ、感染を防ごうと努力する!!幕末を舞台に描く歴史大作・第三巻!!
陽だまりの樹(4)
安政三年七月、通商使節としてアメリカから下田に、ハリスと、かれの通訳のヒュースケンがやってきた。日本との交渉が難航し、過労で倒れたハリスは、ヒュースケンの愛人のお吉を、専属の看護婦として雇おうとする!!
陽だまりの樹(5)
手塚良庵は、江戸の種痘所設立に向け、努力している父・良仙を手伝うため、適塾を去り江戸へ戻る。病気の将軍・家定に拝謁したいというハリスの申し出に、幕府は混乱するが、良庵は謁見を無事終わらせる案を思いつく!!
陽だまりの樹(6)
将軍・家定の後継ぎをめぐり、幕府内は激しく対立していた。老中・堀田は、朝廷から条約調印の勅許を得られなかったため、権力の座は井伊へ移る。そのあおりを受けて、伊武谷万二郎は、ハリスの警護役を解任されてしまう!!
陽だまりの樹(7)
大老・井伊直すけが朝廷に無断でアメリカとの通商条約に調印したことで、朝廷と幕府は激しく対立した。攘夷派・橋本左内の同志とみられた伊武谷万二郎も、井伊ら幕府側の巧みなわなにはめられ、無実の罪をきせられる!!
陽だまりの樹(8)
安政六年、橋本左内らの攘夷派は、幕府により次々と処刑された。水戸の山中に身を潜めていた伊武谷万二郎は、井伊直すけの腹心・磯貝長八郎を捕らえ井伊の汚職を暴こうとするが、その間に井伊は、水戸浪士らに暗殺される!!
陽だまりの樹(9)
おせきは、アメリカの通詞・ヒューケンに暴行されたのをはかなみ、尼寺へ入った。おせきに恋こがれていた伊武谷万二郎は激怒し、ハリスとヒュースケンの警護役を降りるが、その日の晩にヒュースケンは刺客に殺害される。
陽だまりの樹(10)
奥医師と西洋医学所頭取に任命された緒方洪庵は江戸入りし、弟子達と再会した。その中には、他界した父の名を継いだ手塚良仙もいた。良仙は洪庵のすすめもあり、伊武谷万二郎率いる歩兵屯所付き医師になることを決意する。
陽だまりの樹(11)
伊武谷万二郎は、征長軍隊長を突然解任された。崩れかかった幕府を何とか再建しようと目論む万二郎は、無能な閣老達の暗殺を企てる!!激動する時代に翻弄された万二郎と、それを見つめる手塚良仙の運命を描く完結編!!