あらすじ

満十九歳にして史上初の女性皇太子となった阿倍。かつては母・光明皇后の誇り高い態度に感銘を受け、藤原一族としての高い意識を持とうとした阿倍だったが、長屋王の件をはじめとする藤原家の陰謀が周知の事実であることに直面し、絶望する。
女帝の手記(1) まほろば 光明皇后

時は奈良時代、聖武天皇と光明皇后の間に生まれた娘、阿倍内親王。皇太子だった阿倍の弟は体が弱く、幼くして死んでしまう。藤原氏直系で唯一の内親王となった阿倍は、皇太子として即位する。藤原家の期待を背負い、女の幸せを捨て、阿倍の政治家としての日々がはじまろうとしていた…史上初の女性皇太子となり、二度、天皇として即位した女帝の華麗なる生涯。

女帝の手記(2) たゆたひ 聖武天皇

満十九歳にして史上初の女性皇太子となった阿倍。かつては母・光明皇后の誇り高い態度に感銘を受け、藤原一族としての高い意識を持とうとした阿倍だったが、長屋王の件をはじめとする藤原家の陰謀が周知の事実であることに直面し、絶望する。

女帝の手記(3) うつせみ 藤原仲麻呂

故藤原武智麻呂の次男で、とびぬけて頭が良く、天才と言われた藤原仲麻呂。女帝となるからには、生涯独身でいなくてはならず、恋とは無縁のはずだった阿倍は、仲麻呂に恋をしてしまう…そんな折、ついに阿倍は孝謙天皇として即位する。

女帝の手記(4) かぎろひ 淳仁天皇

実権のある女帝になりたいと願いながらも、仲麻呂との愛に溺れてしまう孝謙天皇。仲麻呂と結婚するために、すべての権限を与え、譲位して自分は上皇となる決断をする。仲麻呂は最高権力と無尽蔵の財力を手にしたが、野望はそれにとどまらなかった…

女帝の手記(5) たまゆら 道鏡

次第に仲麻呂に利用されていたということに気付く上皇。恋に破れ、頼りにしていた母も亡くなり、生きる意欲を無くしていたが、道鏡の慰めに癒される。彼女は道鏡の導きによって出家し、仲麻呂から実権を奪い返す決意をする。