あらすじ

王族でありながら魔法が使えない闇の姫御子・エルナ姫。彼女は世界を守る封魔剣・聖剣(グランテイン)を抜くことのできる唯一人の人間。そのエルナを利用し、世界の覇権を握ろうとする大魔導士・ヴァーリは、彼女を聖剣のあるノルズ山に行かせようとする。しかし、エルナを殺しに来た隣国・アンサズの第9王子・シャールヴィによって、エルナが連れ去られてしまい…!?
聖戦記エルナサーガ(1)

遥か昔、極北の地より魔獣が現れ、魔風によって人々を滅亡へと追い込むが、一人の勇者が死闘の末、魔獣を葬った。魔獣は死してなお魔風を吐き続けたが、勇者は聖剣を突き立て魔風をそらし、風下には「守られた土地」が誕生した。その勇者の子孫がアーサトゥアル王家の祖になったとも伝えられるが、長き歴史の中で、それも定かではなくなっていた…。そして現在―― 伝説を後ろ盾に世界の盟主を名乗るアーサトゥアルに、隣国・アンサズの第9王子、不死身のシャールヴィが、魔法を使い攻め入っていた…。

聖戦記エルナサーガ(2)

王族でありながら魔法が使えない闇の姫御子・エルナ姫。彼女は世界を守る封魔剣・聖剣(グランテイン)を抜くことのできる唯一人の人間。そのエルナを利用し、世界の覇権を握ろうとする大魔導士・ヴァーリは、彼女を聖剣のあるノルズ山に行かせようとする。しかし、エルナを殺しに来た隣国・アンサズの第9王子・シャールヴィによって、エルナが連れ去られてしまい…!?

聖戦記エルナサーガ(3)

世界の覇権を握ろうとする大魔導士ヴァーリの野望を阻止せんと、唯一聖剣を抜くことができるといわれる、闇の姫御子・エルナを連れ去ったシャールヴィ。だが、ヴァーリとは別に、グードランドのベルグソーラに命を狙われるエルナ。そんな彼らを退けるも、シャールヴィは負傷し、空馬であるゴルムも失ってしまう…。一方、アーサトゥアルに残されたアトリは、ヴァーリの企みをエイリーク王子に伝えようとするが…。

聖戦記エルナサーガ(4)

アーサトゥアルの大魔導士ヴァーリの野望を阻止するため、アンサズの王子・シャールヴィと共に闘うエルナは、アンサズを目指す途中、自由都市ハルスホルトに立ち寄る。だが、そこにヴァーリの追手である竜騎士と火竜が現れ、町を破壊し、殺戮の限りを尽くす。そんな惨状に耐えかねたエルナは、自ら名乗り出てしまい…!?

聖戦記エルナサーガ(5)

自由都市ハルスホルトで、大魔導士ヴァーリの命を受けた狂戦士と火竜との闘いで傷ついたエルナは、旅の疲れも重なって倒れてしまう。シャールヴィはエルナを残し、薬を求めて修道会領の町へと向かう。だが、残されたエルナに、グードランドの竜騎士・ラヴァルタと暗殺部隊が迫り…!?

聖戦記エルナサーガ(6)

アーサトゥアルの次期王・エイリークは、重臣たちの提案を受け、アンサズを攻める決心を迫られていた。一方、自身の出生の秘密を知ったエルナは動揺し思い悩むが、シャールヴィに励まされ、和平のため命を賭す覚悟を決める。そしてシャールヴィも、彼女を守る決意を固める。そんな二人にアースムンドは、法王にアーサトゥアルとアンサズ両国の調停を進言することを提案する…。

聖戦記エルナサーガ(7)

盗賊、火とかげの爪・ラタトスクに助けられたエルナとシャールヴィは、再びアンサズを目指す。一方、アーサトゥアルは忌むべき禁呪、魔精霊法を使い、人間を狂戦士に変え、アンサズに攻め入る。両国の戦闘はますます激しくなり、アンサズの第9王子・シャールヴィの兄たち、第7王子、第8王子は戦死。第6王子・アザルステインは、砦で狂戦士を待ち構え、兵器と魔法で応戦するが…。

聖戦記エルナサーガ(8)

アーサトゥアルの大軍に攻め込まれ、アンサズの王都は壊滅寸前。そこに駆けつけたエルナとシャールヴィ。だが、シャールヴィの抵抗むなしく、アンサズ軍は敗れ去り、アンサズ王は戦死。一方、実験を掌握できずに悩むアーサトゥアルの次期王・エイリークは戦を中止するよう命じ、大魔導士ヴァーリを排除しようとするが…。

聖戦記エルナサーガ(9)

王と王子たちが戦死し、アーサトゥアルに大敗を喫したアンサズ。そのアンサズの難民たちやオーレイブと出会ったエルナとシャールヴィは、シャールヴィの母が落ち延びているというウルの砦へと向かう。だがその砦には、アンサズの貴族でありながらヴァーリと通じているコルベインと、シャールヴィを誘惑するコルベインの娘が…。そして、コルベインにそそのかされたエルナは、魔剣・炎魔剣の封印を解くため、孤島の祠に連れて行かれ…。

聖戦記エルナサーガ(10)

世界は全て神の魔法により編み出されたもの、何ひとつ誰のものではないのに、人間はなぜ闘うのか、悩み悲しむエルナ。彼女は魔獣を倒すことができれば世界は救われると考え、一人、魔境へと向かう。一方、アーサトゥアルのエイリークは、戴冠式を機にヴァーリと対決することを決意し、彼と壮絶な魔法戦を繰り広げる。だが、エイリークの雷撃を受けてもヴァーリは倒れず…。

聖戦記エルナサーガ(11)

エルナは、再会したシャールヴィ、剣と命を捧げてくれたラヴァルタと共にグードランドに赴き、アーサトゥアル軍と闘うことを決心する。封魔剣を操るアーサトゥアルの闇の姫御子・エルナ姫、勇猛なアンサズのシャールヴィ王子、グードランドの竜騎士・ラヴァルタ、3国の勇者が協力し、アーサトゥアルの異形の怪物の大軍に立ち向かうが…。

聖戦記エルナサーガ(12)

大魔導士ヴァーリの正体は、先王エイナルが、自分の息子であるエイリークを光の王とするため魔境へと追放した弟の息子であり、エルナの腹違いの兄であった。蘇ったヴァーリは世界の王にならんとするが、その背後には…。新王・エイリークは、そんなヴァーリの野望を阻止するため、エルナに統魔雷剣を届けるようカルルに託す。そして、アーサトゥアルの狂戦士と闘うエルナが統魔雷剣を手にした時…!?

聖戦記エルナサーガ(13)

エルナ姫こそ闇の王にして、光の王。そして世界を恐怖に陥れる大魔導士ヴァーリは彼女の異母兄。そのヴァーリを自らの命と引き換えに倒したエイリーク。だが、混乱したアーサトゥアルに替わり、今度はグードランドが世界統一を企む。世界樹が復活しはじめているのを知ったエルナは、世界を守るため、シャールヴィと共に最後の闘いに挑む!!

聖戦記エルナサーガ

ド直球のヒロイックハイファンタジー

聖戦記エルナサーガ 堤抄子
ピサ朗
ピサ朗

誰もが魔法を使える世界で、唯一魔力を持たないアーサトゥアル国の姫エルナと、戦争中のアンサズ国の王子シャールヴィが出会い、各々の思惑により逃避行に身を投じ、怒り悲しみ成長し、やがて戦争を終わらせようと戦い抜く、超が付くほど真っ当すぎるファンタジー漫画。 固有名詞の多くは北欧神話モチーフだが、内容は独自性が強くしっかりとした世界を描いている。 作者が「女の子が世界を救う物語」を描きたいと思った事もあるだろうが、主人公のエルナは女らしさの塊のような女性で、力は弱く誰もが魔法を使えるこの世界で唯一魔法が使えず、目の前で剣を取らねばならぬ時も戦えず、敵の死にも涙を流し、優しく弱く迷い状況に翻弄され、理想主義的で、正直やきもきするのだが、体内の魔法に反応して強力な殺傷力を発する封魔剣を唯一扱えるという特性と、そうして無力な身から悩み学んだ事から成長し自分の意思を世界に示す姿が実にカッコいい。 もう一人の主人公である王子シャールヴィは、猛々しく雑兵をなぎ倒し、魔法も強く、上の兄王子達に考える事は任せていて、戦争を終わらせるなら母国アンサズの勝利で終わらせるという事がエルナを連れていく動機だったが、戦乱の中でも平和を求め、甘いと感じていたエルナの優しさを目の前で見続け、徐々に彼女を守ろうと命を預け、国ではなく彼女の為に戦う事を決めるなど、良い意味で男らしさの権化である。 この二人が共に世界を巡り、様々な出会いと成長を繰り返し、やがては滅びに向かう世界を救おうと戦いに向かう。 出会う人々も市井の人一人一人に物語が見え隠れして、世界は狭いのだがとても深みがある。 モンスター的な存在は居るが、実際は正真正銘のモンスターは伝説の魔獣くらいで、異形の姿と化した狂戦士も元は人間で、空馬等の架空生物は使役動物であり、あくまで人間の領土を巡る戦争が出発点なのも見応えがあり面白い。 男女問わず読んで欲しい一作、お薦め。