傲慢さという性質は、なかなか御し難い。それは時に私を駆り立てる力になる。しかし一方で、自分を特別視し人を見下し、高みから誰かに噛み付いては、自分の心を傷つけ狂わせていく。 この『Dark Seed』という魔法学校ファンタジーは、そんな「傲慢さ」とどう折り合いをつけるか?という事が主題になっている。 ★★★★★ 魔力を持つ子供は、毒でもある魔力を中和する「対(カノン)」の存在無しでは生きられない。しかし魔力を持つ子供は力に思い上がり、仮初の魔力を得る「対」を見下す。そんな魔法学校で、主人公の少女は強い傲慢さを持ちながら、とある偉大な魔法使いの力を受け継ぐ。 主人公と「対」の諍い、学生達それぞれのパートナーシップ、偉大な魔法使い一族の内情と、跡目と目されていた少年の画策……それぞれに見て取れるのはやはり、力を持つ故の「傲慢さ」。しかし描かれる感情には共感できる部分が多く、それ故に己の持つ危うさが、客観的に見えて来る。 そして偉大な魔法使いの仕事を受け継ぐ時、主人公は酷くどす黒い「傲慢さ」と対峙する事になる。 学校や師から学ぶのは、魔法より小さくても実のある優しい力との「世界の均衡」。それを好んだ少女は、荒々しさを抱えたまま「傲慢さ」と対話を始める。変に悟って腑抜けてしまうのではない、元気なままで己の傲慢さを手放すやり方に、どこかスッとする。
あうしぃ@カワイイマンガ
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