あらすじ

山への思いを断ち切れない、かつての友。ひたむきな若きイカロスと出逢った、孤高のクライマー。「幻の山」をめぐり、それぞれの思いが絡まり始める。そんな中、極寒の冬山で起こったある事件が、男達の運命を大きく変えていく。命をかけ、夢に生きる男達を描くスポーツドラマ、急展開! 電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!
イカロスの山 1巻

エベレスト人類初登頂から半世紀。現代に、新たな8000m峰が発見された! その報せに世界中のクライマーが沸き立つ中、かつて数々の山を制覇した名コンビが偶然再会する。一人の男は、今もすべてを頂の上にささげ続け、もう一人は下界にしがらみを持ちすぎていた。人生の苦さと喜びを描く、真の大人のスポーツドラマ、堂々登場! 電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!

イカロスの山 2巻

山への思いを断ち切れない、かつての友。ひたむきな若きイカロスと出逢った、孤高のクライマー。「幻の山」をめぐり、それぞれの思いが絡まり始める。そんな中、極寒の冬山で起こったある事件が、男達の運命を大きく変えていく。命をかけ、夢に生きる男達を描くスポーツドラマ、急展開! 電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!

イカロスの山 3巻

男は若きイカロスの遺志を胸に、「幻の山」へ挑むことを決意した。友はすべてを投げ出し、共に山へ向かった。絡まり合う思いを抱え男達は未踏峰遠征へ旅立つ―。あふれ出す命のきらめきを描くスポーツドラマ、さらに加速!! 電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!

イカロスの山 4巻

未踏峰レースで先行したクロアチア隊事故の報せ。アタックを中断し、日本隊が急行した現場には、クロアチアのエース・ヤーリの姿はなく、弟・ペテルだけがひとり倒れていた。山に敗れたクライマーたちは、涙をこらえて山をおりる。山に選ばれたクライマーにすべてを託して。電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!

イカロスの山 5巻

初登頂レースを途中であきらめざるを得なかった幾人もの男たちに託され、平岡と三上はついにザイルパートナーとなった。しかし三上は平岡の態度から、ある疑念をどうしても振りはらえないでいた。ここから先は人類未到。2人切りで挑む! 山の女神は、自分を征服しようとする男たちをもてあそぶ。命と、そしてパートナーとの信頼を。電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!

イカロスの山 6巻

北壁の崩壊で平岡と三上は日本隊から切り離された。“2人きりで登るしかない”互いの体を1本のザイルで繋ぎ、2人はひたすらに頂をめざす。山を下りた友たちの魂が、平岡に危険な夜間アタックを決意させる! 山には信頼も疑惑もある。だが今は、二人、頂上だけをめざす。電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!

イカロスの山 7巻

危険な夜間アタックの末、平岡と三上は北陸を征した。太陽と月を従えて最後の稜線をゆく2人。喜びに包まれた初登頂。散っていった魂を山に解き放った2人に、山は再び危険な顔を見せる!! 歓喜に彩られた特別な時間。だが、遭難の7割は下山時に起こる。電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!

イカロスの山 8巻

疲れきった体で下山を始めた平岡と三上。2人はルートに迷うが、なんとか危機を脱した。だが、それは起こった……。突然の崩落に巻き込まれ、宙づりになった平岡。絶望的な状況に、2人の道は別れ始めた……。8000mという極限状態で、男たちは最後の選択を迫られる! 電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!

イカロスの山 9巻

北壁に消えた平岡。自らザイルを切った友の生存を信じて捜す三上だが、その生死はわからない。だがその時、アメリカ隊のGPSが平岡生存の証拠を捕らえた――!! 極限の8000m峰で、男は自分の“半身”である友を捜しつづける!! 電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!

イカロスの山 10巻

極寒の雪山で装備も食糧もつき、平岡は過酷な夜を迎えた。孤独と闘うイカロスが最後に呼ぶのは――。山が鮮明にした3人の関係が、結末を迎える。極限の8000m峰を舞台に、人間の強さを描いたクライマーズロマン。感動の最終巻!! 電子書籍版特典として当時を振り返る作者自身によるあとがき収録!!

イカロスの山

山と友情と愛情が複雑に絡み合う

イカロスの山 塀内夏子
hysysk
hysysk

誰もが人生のどこかで、諦めたり、自然に遠ざかってしまった夢や恋心というのはあると思う。すっかり忘れてしまっていたり、心の奥底に引っかかってはいるけども日々を過ごすのに精一杯だったり、ある程度現状に満足していたりするかも知れない。 そこにどうしようとなく惹かれるチャンスが巡ってきたらどうするだろうか?主人公の三上は医者として働き、好きだった女性と結婚して子供も産まれ、何不自由なく生きているように見える。しかし三上のかつての夢、クライマーにとってはその世間一般での幸せこそが、ある意味では不自由なしがらみとなってしまう。 物語はヒマラヤに未踏峰の山が見つかり、学生時代のパートナーであり、全てを山にささげた平岡と再会するところから動き出す。山に惹かれること、平岡との絆、そして妻の真の思い…。これらが8000m級の厳しい登山に挑戦する中で明らかになっていく。 自身もワンダーフォーゲル部出身で、スポーツマンガの名手と呼ばれ取材力にも定評がある作者ならではの迫力と細かな描写が素晴らしい。山で人が亡くなった場合の手続きなど、登山シーン以外でもこの世界の大変さが語られる。 マンガに影響されて登山に憧れるのはやばそうな気がするし、何故みんながここまで山に惹かれるのか分からないほどに厳しさが描かれているのだが、仄かにこういった極限状態に置かれてみたいような気持ちになるのは確か。