ドーバーの花嫁

ドーバーの花嫁

1347年、フランスのドーバー海峡に面した港町カレー市はイングランド王の軍に包囲されつつも、11ヶ月もの長期にわたって抵抗を続けていた。しびれを切らしたイングランド王エドワード三世は、これ以上抵抗すると市民を皆殺しにすると主張するが、それでは民の心は得られないと王子になだめられ、市民の代表6名を人質として王に差し出すことに譲歩する。通告を受け、有力市民のひとりとして人質に名乗りをあげるアエリスの父。しかし彼には重病の妻がおり、アエリスは死の床にいる母のため父をイングランド軍のテントから奪い返そうと決意をする。しかしようやく忍び込んだ敵陣で、雨のなか地面に倒れこんでいた若者を見捨てておけず助けてしまう。看病するアエリスに、夢うつつで心を奪われる若者。その若者こそが父を引き立てていった憎い王子ブラックプリンスその人だった。そうとは知らないエアリスは若者が寝付くのを待ち、また敵陣の中を父を捜しに行くのであった。
ピグマリオンの恋人

ピグマリオンの恋人

アテネのパルテノン神殿で彫刻師たちの競技会が催された。はるばる見学にきていたキルケのガラテア王女は見物人の波に飲まれ、競技を見る事ができないでいた。その王女をみかねて自分の席に抱き上げてくれたのは、ピグマリオンという若者だった。彫刻を愛する者同士のふたりは意気投合し、夜が更ける迄語り合う。翌日の再会を約束したガラテアだったが、彼女を追って来ていた求婚者に強引に国へと連れ戻されてしまう。一夜のつかのまの恋であったが、ガラテアもピグマリオンも互いを忘れる事が出来ず、思い募らせたふたりは、互いのすがたを像に彫り日増しにそれを恋人として愛するようになる。だがそれは国同士への戦いへと発展していく悲劇のもとになってしまうのだった。
黒いプリンセス

黒いプリンセス

セルリアン王国からの美しき留学生シルビア王女は、随員5名の反対を退け日本の警察が付けた通訳兼友人としてのミズキに同室での生活を申し出る。シルビアは王女としてではくひとりの学生として自由にミズキと日本の生活を楽しみたかったのだ。だが王女にはある噂があった。彼女の行く先々の国に銀色の服に身を包む宝石泥棒が出没するというのだ。その銀色の盗賊と王女との関係を疑うのは日本の警察だけではなかった。多額の保険金をかけられた数々の宝石たち。国際保険捜査官スパイロ・ヨークたちの捜査の手もシルビア王女の背後に伸びていたのだ。そして王女に対するセルリアン国内での陰謀。だが王女は降り掛かる危険をかいくぐりながらミズキとの学生生活を楽しんでいた。そんな折ミズキはシルビアのバッグから盗まれたはずのセルリアン王国の宝石を見つけてしまう。
この愛だけが…!

この愛だけが…!

裕福な秋庭家で育った中学2年生の涼子。彼女には生まれつき重度の心臓病があったが、両親と兄の愛に包まれて何不自由ない暮らしをしていた。受験を控えたある日、兄の運転する車で母とともに教師の元を訪問した涼子は帰りの渋滞で玉突き事故にあってしまう。怪我は軽く、輸血と数日の入院で済み安堵する両親。だが、医師から涼子の出生について衝撃的な事実を告げられる。涼子と他の家族の血液型が合わず、実の子でない可能性が高いというのだ。涼子に事実を知らせるわけにはいかない、しかし実の子がどこでなにをしているのか知りたい。葛藤する両親と兄。そんな家族の様子に違和感を感じていた涼子もまた、ふとしたきっかけで事実をしってしまう。今まで通りの生活を送ろうとするが、どこかぎこちなくなってしまった秋庭家。心臓の手術が決まり不安を募らせた涼子は、兄に頼んで実の両親の顔を見に行く決意をする。だが出かけた先で心臓の発作をおこし、その場で倒れてしまう。担ぎ込まれた家は、なんと実の両親の家であった。
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