あらすじ宇垣中学三年、阿賀野こかげは不思議な力を持つ「幽霊族」の末裔。目には見えない人の想いを感じ、受け止めることができるのです。もしもそれまで重かったあなたの心がふと軽くなったとき――。そんなときは、きっと彼女が半分持ってくれたからに違いありません……。人の「想い」を描く、ほんわかせつない癒し系ファンタジー、完結編。
空を飛ぶ女の子いいよね。 幽霊族の力に目覚めた14歳の少女。人の「想い」を受信しやすい彼女が、力を使ったり飲み込まれたりしながら「想い」を浄化する為に奔走する物語。 安定しないが強い力を持つ彼女を、400年生きた同族の女性は期待する一方で、力の強くない祖母(霊体)や父母、幼馴染は心配する。人間に思い入れる主人公に対して、400歳の先達が抱く「すぐ死んでしまう人間を思っても詮無い」という気持ちは、後年様々に生まれる〈吸血鬼物〉作品等に通ずる感覚がある。 一つひとつの想いには、切なく重いものが多い。それにいちいち寄り添って解決する主人公は、400年生きていない私にも確かにもどかしく感じられる。 でも一気に解決しようとするやり方が危険思想に繋がる事を知っている私は、この少女の微力でも地道な優しさこそが、もっと世界中に広がって欲しいと思った。 多少の力では、世界は変わらない。けれども少し力があれば、目の前の人を救えるのだ。 (最終話に百合要素あり)