あらすじ

短編が掲載されるたびSNSを中心に話題となる著者の初短編集。収録作品「花に憧れた」「スカルラット」「ヒロくんの知らない」「まっすぐな僕と生きる糧」「ハニーサックル」「ワンと鳴けない君のために」
桃聖純矢短編集 ハニーサックル
短編が掲載されるたびSNSを中心に話題となる著者の初短編集。収録作品「花に憧れた」「スカルラット」「ヒロくんの知らない」「まっすぐな僕と生きる糧」「ハニーサックル」「ワンと鳴けない君のために」
ワン と鳴けない君のために

ワン と鳴けない君のために

【モーニング・ツー読み切り】ショートヘアーが似合う隣の部の穂高主任と仲良くなりたくて好きでもないロックを聴き込んだ私。彼女は結婚しているし、自分には将来を考えっている彼がいる。恋愛関係になりたいわけではない。この私の感情はどこへ向かうのか?
あの子のシザーは誰のもの

あの子のシザーは誰のもの

【モーニング・ツー読み切り】ショートヘアーが似合う隣の部の穂高主任と仲良くなりたくて好きでもないロックを聴き込んだ私。彼女は結婚しているし、自分には将来を考えっている彼がいる。恋愛関係になりたいわけではない。この私の感情はどこへ向かうのか?
恋は妄毒

恋は妄毒

見えてきた三十路。でも妥協はしたくない。王子様を待ちわびる莉帆子の前に現れたのは、理想通りの青年・頼人。だが頼人は「僕には殺人願望があるから、世間と接触を避けて生きている」と語る。拒絶されても頼人を追いかける莉帆子の末路は? 描くものすべて怪作の新人・桃聖純矢が描く、超純愛スリラー!
桃聖純矢短編集 ハニーサックル
鋭利な初期衝動が多色に煌めく短編集 #1巻応援
桃聖純矢短編集 ハニーサックル 桃聖純矢
兎来栄寿
兎来栄寿
桃聖純矢さんの新刊が2冊同時発売しました。こちらは『恋は妄毒』でも見られたような、独特の持ち味をたっぷりと味わえる短編集です。 かつて松本零士さんから千之ナイフさんへ受け継がれ進化したような、下睫毛バッシバシで虹彩まで描き込む耽美系の画風は最近はあまり見ないですが、個人的にはとても好みです。黒髪の美しさが映えるツヤベタの感じも良いですね。 そんな絵的にも内容的にも古屋兎丸賞受賞がとてもしっくりくる2019年の短編「花に憧れた」から始まるこの短編集。美醜と毒親の呪いを描いた「花に憧れた」は、トップバッターとして申し分のない感情を描いてくれます。 その次に載っているのが、最も古いものは2018年7月の「ヒロくんの知らない」なのは短編集の構成として秀逸だと思います。桃聖純矢さんの多面的な魅力を味わえる並びです。 最も新しい作品、はこの単行本発売と同時に公開されたばかりの「あの子のシザーは誰のもの」と、5年半の軌跡を堪能できる内容となっています。その年月は画力を更新するには十分で、1冊の中で画風の変化を楽しめるのもこうした短編集ならでは魅力ですね。 個人的な好みで言えば、女の子の泣き顔を見るためだけに生きているイケメンを描いた倒錯的な「まっすぐな僕と生きる糧」の扉絵とか最高なんですけれども。お話も好きですし、ヒロインのすみれちゃんもかわいくて好(ハオ)です。 嘘をつくと鼻血が出てしまうので嘘をつけない主人公を描いた「スカルラット」は、構成力の高さが光ります。 犬の言葉を聞けるようになる機械を手に入れた特殊な夫婦のお話「ワン♡と鳴けない君のために」は、犬を飼っている身からすると羨ましさとかわいさといじましさが溢れました。夫婦が結婚に至るまでの独特の超速っぷりや、その後の関係性が面白いです。サスペンス風なお話も多い中で、コメディにも適性があることがはっきり伝わる1編です。描き下ろしはただただかわいいです。柴犬かわいい。犬はかわいい。 コメディ好きの方には、同時発売の『慎みなさい篠宮くん!』もお薦めです。 ダークさやブラックさを基調としながらも、それだけに留まらないユニークな紋様を見せるオニキスのような短編集です。