自然を愛する26歳独身女性漫画家は己を高めるために山へと登るが―――悩みを抱え、トラブルに見舞われながらもしたたかに山を登る、台本無しのセキララ・セルフ・ドキュメンタリー。遭難しそうになった高尾山篇…猛暑と孤独と戦った頭高山篇…滑落しそうになった御岳山篇…体力のなさに直面した大山篇…膀胱のキャパと戦う岩殿山篇…ただ山登りを楽しみたいのに、ギャグ漫画家の性癖(?)がそれを許してくれない―――連載時に共感と感動を呼んだ本作に加え、描き下ろし漫画・挿し絵・コラムを多数収録! 中身もフルカラーの豪華本です!
生きるっていいことばっかりじゃなくて、めちゃくちゃ頑張って疲れてボロボロになってなんとかたどり着いた先にあるものがめちゃくちゃ素晴らしいとも限らない。でもまあよかったような気がするなあ楽しかったっちゃ楽しかったかなあ、みたいなことの連続だ。 それでも一度幸せを味わってしまうと、また味わいたいって思ってしまう。 谷口先生の人生も登山もまさにそんな感じ。 辛いことが重なって眠れなくなって、でもなんでもない顔をしながら舐めすぎなくらいの軽装&無知で山に登る。 もう二度とやりたくない!って思ってもいいはずなのに、周囲の人を巻き込みながら知識を身につけながら再び山に登る。 なんでも面白く作品に昇華できちゃう谷口先生だからできることかもしれないけれど、登山って人生だなあなんて思ってしまった。 イラストらしくデフォルメされてるのに妙に生々しい自然、くだらない日常会話の中に見え隠れする人間讃歌、生きるとはなんと辛く馬鹿馬鹿しく幸せなことか。 共に山を登るメンツの豪華さも霞むくらいに人生とは何かが描かれています。でも霞まないくらい豪華です。 人生って面白いね。