人狼の少女と紡ぐ、ニューノーマルな青春。ウェアウルフの尾守つみきさんと紡ぐ、「普通」じゃない日常―― 多様性の時代とされる現代。ついこの間まで「人ならざる存在」だった「幻人」は今は人間と関わり合って生活しています。舞台は、幻人が多く通う景希高校。そこにいたのは、ウェアウルフの尾守つみき(おがみつみき)さん。モフモフの耳と尻尾が揺れる、天真爛漫な美少女。真層友孝(しんそうゆたか)くんは、悩める人間の少年。人間関係が原因で、自分のことが分からなくなりました。友孝くんはつみきさんと出会い、自分の「気持ち」を見つけていきます。「…人間って大変だぁ~」 日常が変わっていく、つみきさんと一緒なら。まだ誰も知らない、ニューノーマルな青春がここに。
『亜人ちゃんは語りたい』や『ルリドラゴン』の系譜、というのが一番わかりやすいでしょうか。 「幻人」とよばれる亜人種がマイノリティとして溶け込んでいる社会。彼女らとの違いに対する戸惑い、ちょっとしたつまづきや戸惑いやすれ違いなどを、悪意や悲しさで表現するのではなく、さりとて目を背けるわけでもなく、優しさと前向きさで爽やかに描いている。 このタイプの漫画、どれも心温まるしキャラクターもチャーミングで良作揃いなイメージなんですよね。 本作『尾守つみきと奇日常。』においてはメインヒロインのつみきはウェアウルフ(人狼)でヒトと比べるとしっぽが生えてたり怪力だったり、満月を見ると遠吠えが出てしまったりするのですが、それらがどれも彼女の魅力的可愛さに繋がっています。 とはいえすべてが彼女のようにハッピーなわけでもなく、例えば蜘蛛女と思われるモブの少女が周囲の視線を気にしながらそそくさと昆虫食を食べていたり、この世界にも“生きにくさ”は確かに存在するようです。 主人公のヒト少年・友孝はメタ認知が暴走して周りと距離を取ってしまうが、ヒロインつみきは持ち前の鈍感力で他種族とガンガン距離を詰めていく。この凸凹すぎる2人がゆえに周りとのドタバタの中で見えてくるそれぞれの「本音」──ただただ「優しい」だけの世界じゃねえぞとふんわり覗かせてきます。