幸せそうに「結婚する」と言っていたのに、箱根で心中したという姉・南海子。その死を不審に思った夕海子は、姉の勤務先だった病院の院長・加山と急接近、彼がくゆらせる葉巻が、亡き姉の部屋にあった吸い殻と同じだと気付く。心中事件を担当する検察官・奈良本は、夕海子に心惹かれ、捜査にも彼女にものめりこんでいく。そして夕海子もまた、爽やかで若々しい奈良本を愛し始める。しかし彼には、美しい婚約者・瑤子という存在があった。果たして姉の死は本当に心中だったのか、奈良本をめぐる夕海子と瑤子の愛のゆくえは、北の果てでクライマックスを迎える! わたなべまさこが描く、ドラマティックサスペンス、完結。表題作ほか「夢たがえ」を同時収録。
ロサンゼルスで暮らす7歳の少女・ポポラックの父が1年前に再婚。美しく優しい継母ローレルを、同居する祖母はすぐに気に入ったが、ポポラックはどうしてもなじめない。そしてポポラックにはもうひとつ悩みがあった。毎晩のように、2匹の蛇がからみあう悪夢にうなされ、恐怖で飛び起きてしまうのだ。そんな娘を心配した父親は、ポポラックを半ば強引にカナダの病院に送り出す。生きがいだった孫娘がいなくなり心細くなったシャロットは、過去にかかっていた夢遊病が再発したかのように行動があやふやになり、ついにはある事件を引き起こしてしまい…ポポラックが恐れた2匹の蛇とは? わたなべまさこが描く、戦慄のサスペンス・ロマン。表題作ほか「女の傷」「空の巣」を同時収録。