田舎町の中学生ユキヒロの前に現れた、東京からの転校生・椎名ハルコ。かわいくて、どこか淋しげな椎名のことが、ユキヒロはどんどん気になっていく……。初恋のもどかしさを描いた、しおやてるこの初期作品が新装版として登場。単行本未収録だった短編作品や描き下ろしも収録!●収録内容●[チョコレート](2004~2006年/まんがタイムラブリー連載)[ぼくのせんぱい](2011年/コスチューム・フェローズ掲載)[ぼくのおねえちゃん](2002年/まんがタイムきらら掲載)[だいすき](2003年/まんがライフ掲載)、ほか。
子供の恋だってそれなりに打算はあるのだろうが、それでも大人のややこしさからは、随分遠かったなぁ、と今になれば思う。そんな子供時代の、複雑な心と純粋な恋を描いた中編1編+幾つかの短編集。 中編『チョコレート』は、田舎の中学生の物語。東京からやって来た転校生女子は、あまり笑わない。彼女に惚れてしまった男子は少しずつ打ち解けるが、彼女の抱えるものを知る。 二人で少し、はみ出しながら、縮める距離。 抱える苦い物を吐き出す女子と、受け止めようとする男子の、切なさと優しさが胸に染みる。 削ぎ落とされたカワイイ絵は、ウブな恋心の純粋さをストレートに伝えてくれる。そして背後にある複雑な苦さも、何故か少し際立って感じられる。まるで、それも含めてチョコレートの味、と言う様に。 他の短編も、とにかく純度が高く、甘く時々苦い。恋心に浸りたいと思ったら、もうこれ一冊だけでいい。