あらすじ

1995年――ある男子生徒が殺された。生徒の名前は「奥寺翔」。不良達が幅を利かせる小さな田舎町に転入してきた優等生の奥寺は、不良達に痛めつけられながらも自分の目的達成のために異常な行動をとり始める。不穏な空気が町を包み始める中、奥寺は誰に何の為に殺されたのか――。
誰が奥寺翔を殺したのか? 1巻

1995年――ある男子生徒が殺された。生徒の名前は「奥寺翔」。不良達が幅を利かせる小さな田舎町に転入してきた優等生の奥寺は、不良達に痛めつけられながらも自分の目的達成のために異常な行動をとり始める。不穏な空気が町を包み始める中、奥寺は誰に何の為に殺されたのか――。

誰が奥寺翔を殺したのか? 2巻

水原ら3年生が1年2年への圧力を強め犯罪に加担させようとしたことで城場らに動揺が広がる。そんな中、奥寺は剣道部の部室を確保したり部員を集めるために異常な行動を続ける。そんな奥寺の行動に触発された生徒が思わぬ波乱を起こす――。

誰が奥寺翔を殺したのか?

誰が主人公を殺すのか。 #1巻応援

誰が奥寺翔を殺したのか? 行徒 河田雄志
兎来栄寿
兎来栄寿

「お、大好きな行徒さんと河田雄志さんの新しい連載が始まったぞ! 今回はどんなギャグで笑わせてくれるのかな〜」 と、ページを開いてビックリ。 あれ……誰が殺したクックロビンみたいな感じではなく、もしかしてこれガチのヤツですか? そんな第一印象を抱いた本作は、1994〜1995年の田舎の街を舞台にしたヤンキー×ミステリサスペンスです。 94年といえば、『クローズ』や『ろくでなしBLUES』や『カメレオン』や『疾風伝説 特攻の拓』などなどが連載していたヤンキーマンガ全盛時代でもあり、懐かしさを感じずにはいられません。 ただ本作が一味違うのは、話の中心にいるのが剣道で全国を目指す主人公・奥寺翔の異常性です。 はっきり言って、彼がこの街に転校してこなければこの作品の物語は上記のような一般的なヤンキーマンガの枠に収まっていた筈です。しかし、翔という劇薬が加わることで、そしてその彼が殺されるということがタイトルと冒頭で既に示されているというところで、独特の味わいを出しています。 3年の水原が統べる川坂高等学校で、1年のトップを張るのがイケメンの城場。整備工場で祖父と暮らし、不良ではあるものの気骨のある城場のクラスに、翔は転入します。物腰は柔らかいものの、どこか不気味な気配を放つ翔は、剣道場を解放するために城場たちと衝突していき――というところからストーリーは展開していきます。 1巻はまだ序の口で、2巻以降から魅力的な新キャラも登場して物語はますます盛り上がっていきます。 しかし、タイトルと冒頭のシーンが表す通りであると仮定するならば、本作は明確にフーダニットのミステリであり、恐らくは1巻に登場するキャラの中に犯人がいそうな気がします。 不良同士の抗争やヒエラルキーにおける葛藤なども、並のヤンキーマンガ以上に描かれていて面白いのですが、目下最大の焦点はそこです。学ランを着ていることから男子学生の誰かであり、体格からして丸茂ではなさそう。喋り方からすると城場っぽさもありますが、学ランのボタンを全部締めているのは森田っぽさもある。 1年後の1995年、誰がどうして奥寺翔を殺したのか。今、非常に続きが気になる作品です。 ただ、それ以上の本作の最大の謎はなぜお二方が突然こんな物語を始めたのか、ということです。いえ、行徒さんの画力の高さがシリアスに生かされているのは素晴らしいと思うんですが。だがしかし、だがしかし……(困惑)