記憶のデータ化と高度なクローン技術が結集した究極の生命再生システム《アルカディア》。人類は《不死》を手にしたかに思われたが、システムに対応できるのは19歳以下の若者だけだった。《死》を超越した少年少女は兵士となり、敵対する二国間で日々戦績を競い合い《死に続ける》。エルメア合衆国軍少尉・一之瀬秋人は人命をキル数としか数えられていない現実に違和感を覚えながらも、周囲の仲間と価値観を共有できず孤独に悩みを抱えていた。そんな中、秋人が率いる小隊は戦績不振のペナルティとして、全滅必至の機密情報回収作戦へ投じられる。予期せぬ戦闘と地盤崩落により、秋人は因縁の宿敵,、ローレリア連邦軍のエリート少女フィリア・ロードレインとともに《アルカディア》に接続不能な地下深くで孤立することになる──!!第28回電撃小説大賞《金賞》を受賞したボーイ・ミーツ・ガールSFアクション、開幕!!!
生命維持装置《アルカディア》の恩恵が届かない。地下深くの廃都市ジオシティ・イオタに落下した秋人とフィリア。敵対する二人は一時的に休戦協定を結び、協力して脱出を目指すうちにお互いを理解し歩みより始める。地上へつながる連絡塔はなぜか今も稼働しており、状況を訝しみながらも二人の短い協力戦線はひとまず終わりを迎える。離れがたい感情をお互いに言い出せず、手柄のために争うことにも消極的なフィリアに、秋人は「データドライブの中身を見て、お互いに情報を持ち帰ろう」と提案をする。フィリアが呆れながらも秋人の提案を了承しデータを解凍してみると、そこには、この戦争全ての《常識》を覆す恐るべき計画が記録されていた──!