熱原下方(あつはらしもかた)の庄の名主・神四郎(じんしろう)は、年貢米を出せない一家が心中したり、赤ん坊が間引きで殺されてしまう現実を憂いていた。そして、その一方で滝泉寺(りゅうせんじ)の僧達が、夜ごと酒を飲み、遊び女(あそびめ)達とたわむれる姿にも……。仏の教えに疑問を持ちはじめた神四郎の前に、青年僧・日秀(にっしゅう)が現れる。日蓮(にちれん)の弟子・日興(にっこう)に仏法の正義を説かれ、法華経に帰依する決意を固めた日秀は、滝泉寺を追放されたものの、いきいきと遊説していた。そんな日秀の姿を見て、神四郎は法華宗に興味を持ちはじめるのだが……。