あらすじはたらきの連なりが、わたしたちを導いていく。『月から来たような』少女・セリーヌは、老紳士・ルネから巴里の職業を体験し、記す仕事を任される。そのまま様々な職業体験を行い、いろんな人と触れ合うことで、人生の指針となっていた“先生”の教えが少しずつ霞んでいくことに気付き始め――…。大変貌しつつある“都市・パリ”で、わたしはわたしを見つけられるだろうか。19世紀パリ風俗を美しく描写する歴史職業探訪記の終幕。
19世紀フランス・パリの雰囲気を体験しているような気持ちになれる漫画だと思う。 細やかなところまで描かれていて、見たことないパリを見たことがある気持ちになれた。 『月から来たような』と先生に表現された女の子セリーヌが主人公。 文字を書くことや裁縫、掃除など、基本的なことはひとつひとつ丁寧にこなすことができるので、ぼんやりとした子ではないのだけど、どこかぼんやりしている印象がある。 パリとは違う街から来た彼女を通して見る、パリを成り立たせている仕事。 100年以上前に存在した街の雰囲気を味わえるのはとても楽しい。 セリーヌの独特なテンポが、一緒に働く人の心を緩めるのもまた楽しい。 絵画のような表紙の漫画だと思って読み始めたのだけど、あとがきで漫画そのものが「印象派が描いたパリに対する憧れ」から描かれたとあり、直感が完全な的外れでなかったようでフフンと思ってしまった。