上京しようと思う田舎者の僕にとって、中央線沿線は特別なイメージがありました。クリエイターがたくさん住んでいて、ごみごみとしながらも活気があって、古着屋があって…。長野県時代に生まれた、この身勝手なイメージから、なんとなく中央線沿線はを敬遠しております。ただ、たまに降りる中野や西荻窪の駅から、「これが、中央線か」と独特の雰囲気を感じます。  『中央モノローグ線』は中央線沿線に済む、さまざまな職業・年齢の女性たちのモノローグで構成されている4コマ漫画です。中野、高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪、吉祥寺、三鷹、武蔵境の8つの町と、そこに住む女性たちが主人公。登場する女性たちは、どこかその町の雰囲気を重ねあわせています。高円寺のマドカは古着屋の店主で雑多な空気に馴染んでしまっていますし、西荻窪の劇団員・茜は微妙な存在感のなさに悩んでいる。武蔵境の中学生キョウコは23区に出たいと強くねがっていたりします。  中央線の街の特徴が、よりわかりやすいしているかもしれませんが、彼女たちの気持ちは上京してきた者、特有の気持ちがあって、なんとはなしに共感してしまうのです。  『中央モノローグ線』に登場する彼女たちも皆、様々な理由でそこに住んでいます。前向きな気持ちもあれば、早く出たい気持ちもあります。でも街の情景は彼女たちの心の残っていきます。  『中央モノローグ線』は中央線に住みたく成るという漫画というわけではないのです。そこで描かれているのは、東京に住んでいる、顔も名前も知らない誰かの生活です。けれども、読んでいるうちに自分自身もまた、顔も名前も知らない誰かであること実感し、なんとなく温かい気持ちになる気がするのです。東京で一人暮らしの人にこそ読んで欲しいですね。
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