あらすじ恋人・真理子(まりこ)から他の女の子と付き合っていると誤解されてしまった夏目優作(なつめ・ゆうさく)は、実家へ帰った真理子に会おうとするが拒絶されてしまう。その後、真理子を失ったショックで死んでもかまわないと考えた優作は、そこへ現れた妻・美保(みほ)の幽霊とエッチして、ゲッソリとやつれていく。そんな時、再会した真理子に激痩せを心配された優作は、美保の幽霊と暮らしていると告白するが……!?優作、真理子、幽霊の美保、3人の愛の行方は?涙と感動の完結巻。
『弁護士のくず』で小学館漫画賞を受賞した井浦秀夫のホラー・コメディ。『弁護士~』が異色弁護士の活躍する、ためになる系ドラマであるのに対し、こちらはタイトル通り、なんとも気の抜けた感のある作品です。妻を亡くして5年がたち、新しい恋人との結婚を考えはじめた漫画編集者。そこに死んだ妻・美保が幽霊になって現れて起こるひと騒動。古典怪談をなぞっているかのようなストーリー、昭和チックな絵柄と、『弁護士のくず』よりはるか以前に描かれたことがうかがえてその差に驚いてしまいました。ですが、読み進めてやっぱり同じ作者なのだなあと思うところも。人間の描き方なんですよね。主人公優作は美保の幽霊と恋人の間でふらふらして 、それはダメだろうと思わせる描写でコミカルを演出しながらも、妙に説得力のある正論をかましてどっちがいいのかわからない問題を納得させる。基本構造はよく似てるじゃないかなあ。『弁護士~』には思い入れがあるので、作者の基本姿勢ぽいところが垣間見れたのがうれしかった。まあ、そんな見方をする人は少数派でしょうが…。