あらすじ
「この辺りに昔『富士山』があったらしい…」万能物質『オートマトン』の濫用による文明崩壊から200年。復興した東京市の若き技術者フロウトは、オートマトン研究のために訪れた遺跡の町で不思議な力を持つ少女ユーカに出会う。彼女は姉の仇である凶科学者ゲオルと戦うため、自分を強くしてほしいと助けをこうが、そのすべは彼の思いがけないものだった…!遠い天涯の地で運命への屈従にあらがう少女の闘いを描くオリジナルSFコミック。本書は2019年に発行された『天涯のカロン』に加筆改稿を加えた完全版です。全248ページ(物語の前半を収録)。
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超科学文明崩壊後の世界で、なんでも可能にする万能物質を巡る少女の戦いを描いたSF。一般的なSF作品よりもオリジナル色がだいぶ強く、「オートマトン」「コマンド」などコンピュータープログラムの用語が多く登場する。ITに慣れてる人ならイメージしやすい世界観かと。絵柄も内容も、ややマニアックではあるが、機械や人間の魂の存在を問いかけるようなテーマで、とても優しくて心あたたまる物語だった。あとがきで知ったのは、この本は自費出版作品で東日本大震災をきっかけに、7年以上もの歳月を費やして描かれた作品とのこと。そういう意味では、あとがき文を先頭に載せておいた方が良かったのでは。作品に込められた想いや背景を知ってから読んだ方が、より素直に物語に入り込めてただろうし、感動も多くなると思うからだ。