あらすじ

榎田保、「こだわり」の権化。合理的快適生活のための「こだわりジレンマ」に陥ること多し。妻・榎田恵美、榎田主義のストッパー。こだわりに慣らされつつある自分が不安。同僚・高木剛、「テキトー」の申し子。仕事も子育てもテキトー。蔓延する高木菌は、榎田君の髪の寿命も縮めている。さあ、みなさんも榎田ワールドにどっぷり浸かるチャンスです。キモい! ウザい! うっとおしい! それがいつしか快感になる!
それはエノキダ!(1)

榎田保=こだわりの権化。そんな榎田君の理解者(?)妻・恵美は、異常に神経質な夫にあきれながらも、最近、その神経質さに慣れてきた自分が怖いと感じるように……。榎田君の日常は、健康診断で健康と診断されると「今からあらゆる病気になるスタート地点に立った」というストレスで風邪をひく。雑誌は新品でないとイヤ。エレベーター道について食事中に熱く語る……。榎田君にとって、不合理は不条理なのだ!!

それはエノキダ!(2)

榎田保、「こだわり」の権化。合理的快適生活のための「こだわりジレンマ」に陥ること多し。妻・榎田恵美、榎田主義のストッパー。こだわりに慣らされつつある自分が不安。同僚・高木剛、「テキトー」の申し子。仕事も子育てもテキトー。蔓延する高木菌は、榎田君の髪の寿命も縮めている。さあ、みなさんも榎田ワールドにどっぷり浸かるチャンスです。キモい! ウザい! うっとおしい! それがいつしか快感になる!

それはエノキダ!(3)

榎田保、毎日が抜け毛と不合理との戦いだ。常連客なのに毎回「領収書のお名前は?」と聞くな! 梅雨時期の満員電車で傘は細くたたんでおけ! 左手にあるホクロは身体が非対称でキモチ悪い、反対側の同じ位置にホクロをつけたい! 恩を受けた人の現住所をすべて把握し、恩を受けた人に足を向けて眠らない! そのうっとおしさに思わずタメ息、でも、心のどこかがスカッとするのが榎田主義だ!!

それはエノキダ!(4)

超絶的なこだわり=榎田。そのこだわりは本日もうっとおしい!! そんな榎田の同僚であり、テキトーの申し子・高木。その高木の娘・マルンちゃんを預かったとき、榎田が崩壊!? 子供が生まれたら神経質ではやっていけない、妻・恵美ちゃんのひと言に敏感に反応する榎田。育児の予行演習として1週間、マルンちゃんを預かることに。しかし、子供の行動は予測不能、制御不可能。榎田に子供の心を理解することができるのかっ!?

それはエノキダ!(5)

榎田主義=こだわり。榎田主義的キャバクラ道とは? 社内一の恐妻家、水商売の店に入るときは、事前にザンゲの儀式をしないと死んでしまう、らしい。榎田主義的芸術鑑賞道とは? 榎田は絵画展に恐怖で入れない。一枚一枚の絵を完全に理解するまで次に進めないからだ。ぐああああ~~っ!! 今日も街にこだまする榎田保の絶叫!! 超絶的こだわり主義、榎田は現代社会で日々戦い続けるのだっ!

それはエノキダ!(6)

息子・点(ハジメ)よ、わが遺伝子を受け継ぐのだ! 父となっても榎田保の超絶こだわり主義が変わることはない。いや、家庭を守るため、自身のツキの節約を徹底するその姿勢はさらに進化したと言ってもいい。そして、家族といったらキャンプだ!! アウトドアだ!! 日本縦断キャンピングカーモニター極め旅に、テキトーの申し子・高木一家と出発!! さわやかな自然の中でも榎田のこだわりが炸裂!!

それはエノキダ!(7)

作者自身が「これ以上ないほど、うっとおしいこだわりの人をとことん描く」、と宣言してはじまった『それはエノキダ!』。世の中のキモチ悪いことへの榎田的怒りは最終巻でも乱れ打ち!! キモい、ウザい、うっとおしいと、報われない怒りのパワーに、いつしか共感する人、続出!! 時には暴走し、脱線しながら異常な執念を燃やし続けたコダワリズム!! 榎田主義=こだわりの集大成、ついに最終巻!!

それはエノキダ!

「こだわり」というのは難しいもの

それはエノキダ! 須賀原洋行
名無し

「こだわり」というのは難しいものです。「こだわり」が多かった僕は、「こだわるのは男らしくないのではないか?」と「こだわらないことにこだわる」を実践したこともあります。意味はありませんでした。次に「カッコイイこだわりとカッコ悪いこだわり」があるのではと思い、「カッコイイこだわり」にこだわってみましたが、面倒臭いのでやめました。そうやって摩耗していくこだわりの中、今、残っているこだわりこそが、本物のこだわりであり、幸せの青い鳥なのですが、それは自分でもよくわからないのです。  『それはエノキダ!』の主人公、榎田はこだわりの権化です。彼のこだわりは、なにかを突き詰めたいという“興味”と、なにか起きたらどうしよう?という“恐怖”に起因しています。  強迫観念にも近い彼のこだわりは、我々の想像を軽く越え、とんでもない新しい世界の扉を開いていくのです。例えばこんなエピソードがあります。  榎田はある日突然、「恩を受けた人に足を向けて寝られない」と飛び起きます。恩人リスト(日頃恩を受けた人をリスト化しているのです)を確認すると、都内には恩人だらけ。とても足を向ける方向はありません。妥協案として、自宅と同じ階層にいない人は勘定にいれないことにして、一旦は収まりますが、恩人が常に自宅にいるわけではないことに気づき、いっそ恩人を一箇所に集めた恩人牧場を作れば…と、狂気をはらんできます。このように、死ぬっほどどうでもいいことをトコトン突 き詰め、その過程で常識とか理性が吹っ飛んでいくのがこの漫画の面白いところです。  また、榎田くんのこだわりは、遺伝的なもののようで、彼をはじめとする榎田一族は、ほぼ全員が同様の究極こだわり性質。彼らの考え方は極めて理性的で合理的。榎田一族は、時に自分たちのこだわりを推し進めるために政治を動かすこともするほどの力があるのです(ただ、盆暮れの行事は旧暦でやるべきと、至極どうでもいいことを真剣に主張する「裏榎田家」が存在し、対立しているらしい)。  自分自身に芽生えた小さな疑問を起点に、途中で妥協しないでどこまで遠くにいけるのか…。僕の摩耗してしまった「こだわり」なんて「こだわり」でもなんでもなかったと思い知らされました。  榎田は、同じ作者の4コマシリーズ『気分は形而上』に登場したキャラクターです。婚前の独身者ならではの榎田流こだわりが楽しめますので、ぜひそちらも読んでみてください。