私的漫画世界|岡崎京子|セカンド・バージン
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母親樹美子,女子高生のセリナ,小学生のカリナのという母子家庭の話であり,樹美子は夫と死別後,ずっと男性とのおつきあいなしで過ごしてきたようですので「セカンド・バージン」というタイトルになったのかなと思っていたら外れでした。
作者の岡崎京子の最初の単行本が「バージン」であったので,二冊目は「セカンド・バージン」ということになったという身もふたもない種明かしがネットに掲載されていました。
もっとも単行本のあとがきに作者の考えたタイトルは「ノンキな母さん」あるいは「母さん星見つけた」だったそうです。あまりにも岡崎作品イメージとはかけ離れています。「セカンド・バージン」は担当者がつけてくれたもので,作品のイメージにぴったりです。
最終話に「母さんもお父さんと結婚してお前とカリナを産んで育てて…でも…なんだか二度目のあの季節が来たみたい」と述懐しています。当然ですがタイトルが先に決められたことでしょうから,最終話の樹美子の述懐は「セカンド・バージン」という洒落たタイトルに合わせた作者なりのけじめだったのではと想像します。
岡崎さんは「女の子エッチ漫画家」とインタビューで言われるほどHシーンが多い作品を手掛けているので個人的には苦手にしています。しかし,初期作品の「セカンドバージン」や「TAKE IT EASY」などはHシーンも少なく,割とほのぼのした感じの静かな展開であり,とても読みやすい内容になっています。
それに対して「くちびるから散弾銃」などは女性のものすごいおしゃべりに圧倒されます。上下合わせて260ページのおしゃべりを聞かされるのはちょっとした拷問であり,読み終わったときは解放感でいっぱいでした。どうも,岡崎さんの感性は一筋縄ではいかないようです。マンガ家でも「新人類(新類人?)」は出てくるんですね。