あらすじ

湘南のカフェレストランの店長・藤木聖司には、十九歳の時一方的に、恋人へ別れを告げた過去があった。それはエリートへの道を約束されている相手・嘉悦政秀の将来を思った、あえて露悪的な別れだったのだが、その十年後嘉悦が偶然藤木の店を訪れたことで、ふたりは奇しくも再会してしまう。だが「お前を忘れられなかった」と告げる嘉悦の左薬指に、プラチナのリングを見つけてしまった藤木は……?──抗いながらも、溺れていくしかできない──もどかしくも狂おしい、大人の恋!
目を閉じればいつかの海

湘南のカフェレストランの店長・藤木聖司には、十九歳の時一方的に、恋人へ別れを告げた過去があった。それはエリートへの道を約束されている相手・嘉悦政秀の将来を思った、あえて露悪的な別れだったのだが、その十年後嘉悦が偶然藤木の店を訪れたことで、ふたりは奇しくも再会してしまう。だが「お前を忘れられなかった」と告げる嘉悦の左薬指に、プラチナのリングを見つけてしまった藤木は……?──抗いながらも、溺れていくしかできない──もどかしくも狂おしい、大人の恋!

手を伸ばせばはるかな海

『完璧な』弟・和輝に対する劣等感の末、湘南の人気レストラン「ブルー・サウンド」に居場所を見つけた大学生・宮上瀬里。だが快活なスタッフのなかで唯一苦手なのが、大柄で野性的な厨房担当・中河原大智だった。どこか弟を思い起こさせる自信に満ちたその態度は、気弱な瀬里を萎縮させるが、やがてそれは彼なりの気遣いであることに気付く。そんな折、大智は突然現れた和輝から瀬里をかばったうえ、キスまでしてきて──!?

耳をすませばかすかな海

謎めいた年上の男は、どんなに強く抱きしめても、心だけが──遠い。全てに秀でている事が、逆にコンプレックスになっている大学生・宮上和輝。何もかもに鬱屈していた高3の夏、ただ一度勢いで肌を重ねた年上の男・笙惟と偶然再会する。和輝の矜持や兄・瀬里への執着を、子供の甘えと鼻先で笑う彼の、甘い毒のような色香に翻弄されるのは、いっそ心地よかったが、だからこそ真面目に向き合おうとする和輝に、彼は底の見えない瞳で笑うばかりで──。

振り返ればかなたの海

ブルーサウンドの厨房ヘルプ・山下昭伸は、仲裁に入ったはずみで誤って水をかけられてしまった相手・奥菜一葡に、いきなり告白されてしまう。自分が何事にも『温度』が低いという自覚があり、恋愛にも興味のない山下はやんわり拒絶するが、それでもめげずに一葡は頻繁に店を訪れるようになる。だがそんな最中、新店の店長に抜擢されたものの、不注意で左手を骨折してしまった山下に、一葡はプロ並みのマッサージと身の回りの世話を申し出て──!?

しじまの夜に浮かぶ月

システムエンジニアの朝倉薙は、急な依頼で引き受けた仕事のために、仮住まいすることになった派遣先の社宅で、金髪碧眼のアメリカ人ケネス・クロフォードと知り合う。親友の山下への恋心を断ち切られたばかりの朝倉を、そうとは知らないケネスは情熱的に口説いてくるが、人付き合いが苦手な自覚のある朝倉には、とまどうことばかりだった。そして短期間とはいえ慣れない会社組織での仕事に疲れを覚えはじめた頃、朝倉の過去の傷を抉り返すような出来事が起きてしまい──!?

ただ青くひかる音

別離と誤解を越え、再び結ばれた藤木と嘉悦。一緒に暮らし始めて幸せな日々のはずだったのに、仕事に追われる二人は寝室も別々。そんなある朝、出勤前の嘉悦はいつになく積極的に藤木を誘い…。一方、大智と瀬里、山下と一葡、和輝と笙惟も、それぞれの関係に少しずつ変化が訪れていることを感じていた。手に入れたはずなのにままならない愛に戸惑いながらも、恋人たちはお互いを激しく求め合い──。大人気『ブルーサウンド』シリーズの恋人たちが織り成す短編集が登場!

波光より、はるか

大好きな山下と同居を始めて幸せ一杯な一葡。しかし、職場では同性愛者であるとばれて嫌がらせを受けていた。明るく振る舞うものの、無理がたたって倒れてしまい…。一方、かつて山下に片思いしていた朝倉はケネスに対し、自信が持てず、不安で揺れていた。そんな朝倉の真意が掴めずに、焦れたケネスは、紳士の仮面を脱ぎ捨てて…!?大人気『ブルーサウンド』シリーズの恋人たちが織り成す短編集が登場!

せつなの夜に触れる花

かつての恩人を捜している京は、アークティック・ブルーでバーテンダーとして働く江上がその人だと知る。彼と話しをするため、酒が弱いのに飲みすぎて倒れてしまった京。気がつけば、江上に介抱されていて…!?